「日本初の女性宰相」へ野心をのぞかせる高市氏

「それは、心にとっくに決めています」。9月2日に自民党本部で開かれた両院議員総会。終了後に報道陣に囲まれた高市氏は総裁選出馬の意向についてこうほのめかした。

この日の総会では、出席議員による、7月の参院選大敗後も驚異の粘り腰を見せていた石破首相への批判が殺到していたが、自民党史上初めてとなる「臨時総裁選」の開催も現実味を帯び始め、「石破包囲網」が狭まりつつあるなかでの高市氏の発言に「早くも次期総裁選出馬にフラグを立てた」(全国紙政治部記者)との見方が強まった。

高市早苗氏(本人公式Xより)
高市早苗氏(本人公式Xより)
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9月2日時点で首相の座への居座りを続けていた石破首相に対しては、「トップとしての責任のあり方はご自身が考えること」と述べるにとどめたが、いまや「日本初の女性宰相」への野心は隠しようもなかった。

昨年9月に行なわれた自民党総裁選では、河野太郎氏ら9人が名乗りをあげるなか、高市氏が1回目の投票で国会議員、党員・党友票でトップを奪取。石破氏との決選投票となった2回目の投票で涙をのんだが、「総理総裁」の椅子は手の届くところまで近づいていた。

2024年に行なわれた自民党総裁選の決選投票(自民党広報公式Xより)
2024年に行なわれた自民党総裁選の決選投票(自民党広報公式Xより)

「このとき、高市氏を推して有力候補に押し上げたのが、麻生太郎最高顧問でした。麻生氏を高市氏の支援に向かせた背景には、石破首相への怨念の深さがあります。石破首相は、麻生氏が首相在任時に農水相のポストにありながら『麻生おろし』に荷担しました。

このとき以来、『石破だけは総理総裁にしてはいけない』が持論となっており、優勢が伝えられていた石破氏の総裁選出を防ぐべく、高市氏に懸けたのです」(全国紙政治部記者)

麻生太郎氏
麻生太郎氏

麻生氏は当時、総裁選の投票日直前に、党で唯一残存している自身の派閥「麻生派(志公会)」の所属議員に高市氏への投票を厳命。一部メディアに「高市支持」の情報をリークして党内で揺さぶりをかけた経緯もある。
「今回の『石破おろし』も流れを主導したのは麻生氏でした。参院選で敗北した後に早々と石破首相に退陣を促し、受け入れないとみるや、総裁選前倒しに向けた政局を仕掛けました。総裁選前倒しの可否を決める9月8日の総裁選管理委員会の会合の前には、永田町で麻生氏の周辺による票読みの数字も出回りました」(同)