「前代未聞の甲子園の途中辞退を招いた方」
これまで野球部内で行なってきたアンケートやヒアリングで、暴力やイジメに関して出てきた“新しい事実”はこのコーチの一件のみだという。
今年1月に起きた、寮で禁止されているカップラーメンを食べた1年生を複数の2年生が殴るなどした暴力事案や、2023年に寮内で元部員が複数の部員から下半身を触られたり、中井哲之監督らコーチ陣からの暴言や暴力を受けたという事案について学校としてはどのように考えているか改めて尋ねた。
「今年1月の暴力事案については報道されている通り、内容について相違があるというのが学校としての見解です。今現在は第三者委員会を設置するところで今後調査をしてもらいます。
2023年の暴力事案については、被害生徒の聞き取り時にはどこで誰に何をされたかということについては言っていたのですが、記憶にあやふやな部分があり、人物や場所や時間を特定できる証言ではありませんでした。名前があがった監督、コーチ、生徒にも聞き取りはしましたが、否定したという形でした。なので学校としては暴力事案があったという事実が認定できなかったという状況です」(広陵高校の支部長)
中井前監督の進退については、どのような状況なのだろうか。
「2023年の暴力事案については中井前監督の名前もあがっております。学校としては事実として認定できなかったとはいえ、現在第三者委員会で調査してもらっておりますのでそのあたりの結論が出た時点で再度考えるということになろうかと思います」(同前)
とはいえ、今年1月の暴力事案は中井前監督の時に起きたもので、監督責任を問われてもおかしくない。そのことについても支部長に尋ねた。
「暴力事件が起こった時の監督であり、息子(中井部長)さんも含めてこういう事態を招いた責任もあろうということで指導から外れていただいております。ただ、30年以上、ここまで広陵を強くして有名にし、学校に貢献した方というのもあります。
一方で前代未聞の甲子園の途中辞退を招いた方でもあり、難しい問題ではあります……。ですから今の時点では、第三者委員会の結果を踏まえてからのことですし、未定としか言えない状況です」(同前)
暴力事案について学校側としては、被害者たちの証言は事実と異なるというこれまでの姿勢のままのようだ。