「褒める」は2度目から効果が出る
「褒める」は1度で終わらずに、必ず2度以上、続けることです。
2度褒めることで、「いやいや、そんなお世辞を。上手いんだから」「またまた、そんなご謙遜を。本当ですよ」という雑談の心地良さが余韻となり、その後の「本題」も心の扉を開いたままスムーズに進むことが期待できます。
とは言え、「褒める」もノープランではネタ切れが心配です。1度目、2度目にバリエーションが出るように「比較」を念頭に置きます。
1つは「他者との比較」です。
「素敵なオフィスですね。私、たくさんの会社を訪問していますが、その中でもトップクラスのキレイさですよ」
もう1つはあなた自身を用いた「自分との比較」です。
「社長はとても誠実な方ですね。いえ。私は初めて会った方に誠実と言われたことはほとんどないですよ。でもこれは、お世辞でもなく、初対面の私でもそう感じたのだから、社長の誠実さは本物ですよ」
比較を使うことで客観性が増します。お世辞と分かっていても2度褒めることで「本当かな」「本気かな」と思わせる信憑性がプラスされ、脳の幸福ホルモン生成は活発になり、心の扉は大きく開くことでしょう。
相手を褒めることは、名刺を切らさずに持ち歩くのと同じくらい基本だと考えてください。
「今日は全員、『センスがいいですね』で褒めよう」「今日は雨だから、室内の快適さを褒めよう」と準備しておけば、自然と良さを見つけるようになり、決してウソではない「褒める」がスムーズにできるようになります。
1つ、コツがあります。それは「オーラを褒める」です。「誠実そうな」「子どもが好きそうな」「知的そうな」……。「そう」は何となく感じた印象ですから、ウソではありません。そう思えば、そう見えます。1度、試してみてください。
文/乾 哲也













