本当に減税を実現しようと思うなら…
したがって、本当に減税を実現しようと思うなら、予算・税制に関するスケジュールを抜本的に変革することが必要だ。
その重要なポイントは、財務省が予算編成に関わる前に「立法府」が予算の大枠を決定することにある。具体的には、毎年6月に内閣府が「骨太の方針」を公表するのではなく、与党が骨太の方針を国会で決議する形に変更することが重要だ。
与党の国会議員が毎年6月までに自らの責任で予算・税制の大枠を策定し、彼らの責任で衆議院・参議院の両院においてその内容を決議するのだ。
今までの予算・税制のスケジュールを根底から見直し、政治家が立法府の意志として予算及び税制の大枠を決定することで、財務省による前例踏襲主義による統制を覆すことができる。
これこそが唯一大胆な減税法案を実現するための道を開く方法だ。その上で、国会決議に基づいて財務省は各省庁や各業界団体からの要望を査定すれば良い。政治家があくまでも主であり、財務省が従であることを明確にするべきだ。
野党が減税を本気で実現する気があるなら「予算・税制の年間スケジュール」を変える
この際、従来までのように、内閣府が骨太の方針を公表するのではなく、与党が国会で骨太の方針を決議することが肝要だ。従来までのやり方では既に内閣府内に官僚の手が及んでいるからだ。
もちろん、与党の国会議員も官僚のレクで既に十分に毒されているが、予算・税制の根幹を決める議論が国民にオープンな国会の場で行われることの意味は大きい。
政治家や役人が作り出す腐敗は暗闇にしか存在することはできず、光が当たる場では腐敗だけでなくサボタージュすることすらも難しいからだ。
現在、与党は衆議院・参議院両院で過半数割れを起こしている。減税を掲げて選挙戦に勝利した野党は、今こそ予算・税制に関する年間スケジュールの見直しを要求して実現すべきだ。
政治はスケジュールによって決まる。地味ではあるものの、野党が減税を本気で実現する気があるなら「予算・税制の年間スケジュール」を変えることに言及せざるを得ないはずだ。
与党、野党がどこまで本気なのか、スケジュール改革に触れるか否かで、その本気度を推し量ることができるだろう。
文/渡瀬裕哉