浮気の証拠には「強い」「弱い」という概念が存在する
自分がこれからどうしていきたいのか――この目標がある程度定まってくると、自ずと証拠を使うことになる相手も決まってくる。
つまり、「配偶者」に対して使う証拠になるのか、「浮気相手」に対して使う証拠になるのか、ということだ。または「婚約者」に対して使う証拠なのか、あるいは「義理の両親」や「共通の友人」に見せるため、場合によっては「会社」に提出する証拠になるというように、想定されるケースは実にさまざまだ。
また、証拠を使う相手が同じ「配偶者」であっても、「離婚するため」に使う場合と、「夫婦関係の再構築を目指すため」に使う場合とでは、証拠の使い方がまったく異なる。
「浮気相手」に対して使うケースでも、弁護士を通して正式な慰謝料請求をする場合と、直接会いに行って示談交渉をする場合とでは、証拠の活かし方がまるで違う。
つまり、目的によって必要な証拠が変わってくるということだ。当然、必要な証拠が変わってくれば、探偵の調査の組み立て方も変わってくる。
それぞれの目的に応じた証拠の使い方に関しては、それこそ超個別になってくるため、書き出したらキリがない。なのでここでは割愛させていただくけど、ここまで書いてきたように、この段階まできてようやく先の質問にあったような浮気の証拠が、目的達成に向けての証拠と成り得るか否かの回答ができる。
さて、ここでメチャクチャ重要となる概念についても触れておきたい。
便宜上「必要な証拠が変わってくる」と書いたけど、正確にいえば「求められる証拠の強さが変わってくる」という意味。つまり、浮気の証拠には「強い」「弱い」という概念が存在するということ。
例えば、まずは次のような浮気の証拠を見てほしい。
・異性とのLINEでの親密なやり取り
・異性との頻繁な通話履歴
・異性からの手紙や贈り物
・異性と手をつないでいる写真
・異性とキスをしている写真
・ラブホテルや旅館の宿泊レシート
・身に覚えのない避妊具や大人のおもちゃの購入履歴
ここでちょっと想像してみてほしい。
もし、あなたに配偶者がいるとして、これらの証拠を見つけてしまったら?
あなたは配偶者が「浮気をしている」と思うだろうか?
または「浮気はしていない」と思うだろうか?
では、これらの証拠をもとに、弁護士を通じて配偶者に慰謝料請求ができるか――結論をいえば、正直微妙だ。なぜなら、これらの証拠は「弱い」からだ。
「は? なんで弱いの? 常識的に考えて、これもう完全にデキてますやんw」
おそらく誰もがそう思うだろう。だけど、これらの証拠であっても、出るところに出て戦った場合、割と泥沼化するケースがほとんど。なぜなら、民法上の不貞行為は「セックスの有無」で判断されるため、決定的な証拠の提出が求められるからだ。
離婚調停や離婚裁判でガチガチに法廷バトルをすることになった場合、当然相手方にも弁護士がつくことになるので、解釈の余地がある証拠に対しては必ずアレコレ(苦し紛れな)言い訳をしてくるもの。そうなってくると、これらの証拠単体では弱く、確実に「不貞行為」があったことを立証するための証拠としては使えない。
じゃあ、次のような浮気の証拠の場合はどうだろうか?
・異性とふたりでラブホテルに出入りしている写真や動画
・異性とふたりでビジネスホテルに出入りしている写真や動画
・異性とふたりで相手の家に宿泊している写真や動画
・異性とふたりで温泉旅館に宿泊している写真や動画
これらは強い証拠。特にラブホテルの出入りの写真や動画の証拠はメチャクチャ強い。
なぜなら、ラブホテルは社会通念上「セックスをするための施設」として広く知られているから、言い訳が通用しない決定的な不貞の証拠といえる。
また、ラブホテルほどではないにしても、ビジネスホテルの出入りや、相手の家や温泉旅館でのお泊まりともなれば、証拠の強さとしては十分。
法廷で「不貞行為」の立証を確実にするには、このレベルの強さの証拠が必要となる。
そして、必然的に僕ら探偵が提供することになるのは、こうした「強い」浮気の証拠の写真や動画となるのだ。