「これって浮気の証拠になりますか」

「旦那のスーツの内ポケットからラブホテルのポイントカードが出てきたんですが、これって浮気の証拠になりますか?」

「クレジットカードの引き落としに女性モノのバッグの購入履歴があったんですが、これって浮気の証拠になりますか?」

「浮気相手とのLINEで“愛してる”ってやり取りがあったんですが、これって浮気の証拠になりますか?」

画像はイメージです(写真/Shutterstock)
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探偵を長くやっているけど、依頼者さんから聞かれる質問でいちばん多いのがこの手の質問。

聞かれまくる。もう、マジで聞かれまくる。コンビニやスーパーで毎回「レジ袋おつけしますか?」って聞かれるのと同じぐらいの頻度で聞かれる。

探偵の僕はこうした質問をダイレクトメッセージや電話などでされるけど、その度に「それは、ちょっとわからないですね」と答えている。別に僕が無知だからというわけではない。僕はこれが誠意ある回答だと考えている。

なぜなら、それが浮気の証拠になるかどうかに関しては、コンビニのレジ袋の質問のように「はい」「いいえ」と、ひと言で答えられないから。

「浮気」「不倫」は法律用語では「不貞」

ところで「浮気」や「不倫」という言葉は法律用語ではないので、法的な場面においては法律用語である「不貞」が用いられる。

浮気や不倫という言葉の定義は人それぞれ異なると思うけど、不貞に関しては民法上における明確な定義が存在している。

「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」

要するに「セックスをしたかどうか」が争点となってくる。

あなたが手に入れた(見つけてしまった)浮気の証拠(らしきものが)が、不貞を証明する証拠になり得るか否かについて、結論からいえば、「ケースバイケース」ということになる。つまり、質問者さんの背景をきちんと知っていなければ「答えようがない」ということだ。

質問者さんの背景や事情を知らずに「証拠になりますよ」「証拠にならないですよ」と答えることは、非常に無責任と言わざるを得ない。なぜなら、その回答が、その人の人生を大きく左右する要因となる可能性があるからだ。

質問者さんが割とカジュアルかつお気軽に聞いてくるこの手の質問に対して、真剣に答えようとすると、平気で1時間くらいかかる。

探偵に相談するという行為は一見すると、浮気調査の依頼を「する」か「しない」かの二択の判断を下すためのものと思われがちだけど、ある意味で人生相談に近いものがあるし、実はかなりヘヴィな行為なんだよね。

なので、探偵に調査の相談をするなら、まずはあなた自身のことを話してもらわないと始まらない。

さぁ、崖っぷちの人生相談を始めようか。