山場は参院選の総括と森山幹事長の去就

ただ、同委員会は11人中6人がいまは落選していて欠員だ。委員長の逢沢一郎衆院議員は海外出張などもあり、動き出すのは早くても8月下旬以降になるだろう。

お盆休み明けの19日にも初回となる会議を開く予定だが、欠員を補充して意思確認の方法を定めることから始めることを考えれば、「少なくとも1カ月以上はかかる」(同委員会のメンバー)とみている。

総会は「反石破派」の作戦勝ちだった。ただ、その意思確認やその方法の確立には相当の時間がかかる。その前にやってくる山場が今回の歴史的な大敗をめぐる「参院選の総括」だ。

8月の最終週にも開催予定だが、その席で森山裕幹事長は「責任を明らかにしたい」と自らの辞任を示唆している。

「石破政権は森山幹事長でもっている」

与野党限らず、永田町ではもはや定説と言えるだろう。自民党内に派閥など足場のない石破総理に代わって党内ににらみを利かせ、野党との太いパイプで少数与党国会を乗り切ってきた。石破総理も「森山さんがいなければ政権運営はできない」とその存在の大きさを認めている。

森山幹事長(自民党ホームページより)
森山幹事長(自民党ホームページより)

その森山幹事長が8月末に退任意向を表明したらどうなるか。9月末の自民党の役員任期を前に後任の幹事長を決めなければならない。いつ終わるか分からない政権だ。後任の幹事長選びは難航するだろう。

党内を見渡してみて、石破総理に近い議員の一人は野田聖子元総務大臣の名前を挙げる。自民党史上初の女性幹事長と話題性はあるが、衆参の少数与党という状況で、野党との折衝などとても森山幹事長の後任が務まるとは思わない。

「誰がこんな泥舟に乗りたいもんか」

備蓄米への素早い対応で評価を上げた小泉進次郎氏を挙げる声もある。ただ、小泉氏自身が今回の大敗を「重く受け止めるべきだ」と語っていて、今以上に石破総理を支える側に回ることはないだろう。

後任の幹事長が決められない。さらに同じ党四役のうち、木原誠二選挙対策委員長も総括後に辞任すると表明している。総務会長の鈴木俊一、政調会長の小野寺五典の両氏も9月以降の続投については否定している。鈴木氏は麻生派で、小野寺氏は旧岸田派だ。

つまり、石破総理が9月の自民党役員人事を乗り切るのは極めて難しい。「誰がこんな泥舟に乗りたいもんか」(旧岸田派の議員)。

8月最終週の総括までに石破総理が森山幹事長を慰留で説得できなければ、「総裁選前倒し」規定が発動される前に、自壊する可能性がある。

<後編>豊田章男経産相、安野貴博デジタル相、幹事長はまさかの…石破「やけくそ」崖っぷち改造内閣の顔ぶれを占う に続く

文/長島重治