安倍派出身の参院幹事長は適任なのか?
秋に補正予算の審議が控える中、参院自民党の役員人事も固まっていない。7月の参院選で武見敬三前参院会長が落選し、旧岸田派の松山政司参院議員が新会長に就任したが、参院幹事長の人事が事実上の棚上げとなっているのだ。
「参院幹事長の候補としては、旧茂木派出身の石井準一国対委員長に加えて、山本順三元国家公安委員長、岡田直樹元内閣府特命大臣らの名前があがっています。
ただ、山本氏や岡田氏は自民党派閥を巡る裏金事件の震源地である旧安倍派出身で、7月の参院選では非改選組だったため“選挙の洗礼”も受けていない。
彼らは安倍派五人衆の一人として主導的な立場にあった世耕弘成前参院幹事長とも近しい間柄です」(自民参院ベテラン)
参院自民党では「裏金事件の余波が続く中、安倍派出身の参院幹事長は適任なのか?」という意見も出ているという。
「しかし、旧安倍派を敵にまわしたくない参院会長の松山氏は、どうも決断に踏み切れない。役員人事が固まらなければ、今後の国会運営にも影響しかねません。
石破総理の求心力が低下する中で、執行部のリーダーシップが様々な面で弱体化している証左ともいえます」(同前)
石破総理は8月8日の両院議員総会で「引き続き、この日本に責任をもって参ります」と続投姿勢を改めて強調したが、出席者からは総裁選の前倒しを求める意見が続々とあがった。
そして、逢沢一郎総裁選挙管理委員長のもとで、総裁選の前倒しの実施について検討が開始されることが決定された。今後、党所属の国会議員と各都道府県連に意思確認が行われる予定という。
「総裁選前倒しに向けて、一つステージが進んだのは確かです。衆参ともに少数与党となるなか、連立組み替えの議論も高まっていますが、日本維新の会にしても国民民主党にしても、自民党内の支持を失って“死に体”となりつつある石破政権と組むメリットはない。
自民党としては、新総裁のもとで、連立の組み替えに取り組むのが現実的でしょう」(全国紙政治部記者)
こうした中で、気になる動きもあった。小泉進次郎農水相が8月27日に予定していた「小泉進次郎セミナー」を中止し、「総裁選の準備では」(後援会関係者)との声が上がっているのだ。
総裁選の前倒しが既定路線となりつつある中、“ポスト石破”を巡る党内政局もいよいよ本格化しそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班