医師「衛生環境が悪く勧められない。許せない」
前出の厚労省担当者によると、このヤミ看護師は、医師の指示を受けずに診療機器を使用し、本来は医師が行うべき行為を行なっている可能性があることから、法律に違反する恐れがあるという。
また、施術前に医師による問診が行われなかったことから、「医師の指示がなかったといえる」とも指摘した。
とある美容クリニックの医師によると、現在でもヤミ看護師らによる違法アートメイクが後を絶たない理由として「マンションの一室で紹介制ならバレにくい」といった安易な認識があるという。
「当たり前ですが、ヤミ看護師は法律を守る規範意識が薄いんですよ。医師からすると、やはり許せませんね。事故が起きたらどうするのか、と。こうした行為が原因で『アートメイク=危ない』という印象が広まってしまいます。
実際には、医師が駐在して診察したうえで、フリーの看護師が合法的にアートメイクを行えるよう、クリニックの部屋を時間貸しするプランがあります。2時間で1万5,000円が相場ですが、ヤミ看護師は『高い』と敬遠してレンタルルームを利用するわけです。
もちろん、そうしたレンタルルームは衛生環境が十分とはいえません。それでもレンタルルームの使用料は1日1万円程度なので、2人集客すれば1日で5万円以上を稼げてしまう計算です。
美容クリニックでアートメイクの正規看護師として働くと、月に平均30〜35万円の給料がもらえることが多い。それでは満足しないのか借金があるのかなどで、小遣い稼ぎとしてヤミ看護師をする人が一定数います。また、独立と謳って蓋を開けたら医者が診療や医療指示をしないケースもある。
実際、腫れが引かないなどのトラブルが発生し、正規クリニックや皮膚科に駆け込むケースも少なくありません」(美容クリニック医師)
前出の女性Aに施術をしたヤミ看護師に電話を何度かかけたところ、出ることはなかった。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班