「クリニックと場所が違うから気をつけてね」
こうした違法アートメイクの実態を探るべく、取材班は実際に施術を受けた経験があるという20代後半の女性Aに話を聞いた。彼女は、いわゆる“ヤミ看護師”との出会いをこう語る。
「友人から、大手のアートメイククリニックで働いていたという看護師を紹介されました。友人価格で安く施術してくれると聞いて予約したのですが、いざ行ってみると、案内されたのはマンションの一室でした。当時は、アートメイクが医療行為だとは認識しておらず、それが違法行為にあたることも知りませんでした」(女性A)
彼女は昨年12月頃、その“ヤミ看護師”に眉毛とアイラインの計2部位の施術を申し込んだ。料金は1部位3万円、合計6万円で、相場の3分の1程度だったという。支払い方法は現金かPayPayで、とLINEで案内されたそうだ。
そして予約の3日前、ヤミ看護師から次のようなLINEが届いた。
<場所がクリニックと違うから気をつけて!!!>
<遅刻の場合は私に連絡してね!〇〇(働いていた大手クリニックの名前)には連絡しないでね>(※一部修正)
<東京都港区南青山〇〇〇〇〇 サロンのあるビルへ到着いたしましたら、中に入り×××のインターホンを押していただきお待ちください。エントランスまでお迎えに上がります。>(※一部修正)
女性は、施術当日の様子をこう振り返る。
「1Kで19平米ほどのマンションの一室に案内されました。部屋の中にはソファと、整体でよく使う簡易的な施術用ベッドがあり、その上にアートメイク用の箱くらいの小さな機械がポツンと置かれていました。
どうしてこの部屋なのかと聞くと、『独立したから』とのことでした。それ以上は、特に聞きませんでした」(女性A)
女性によると、施術前に医師による問診はなかったという。2時間ほどの施術を終え、現金で料金を支払い、次回の予約も入れた。
ところが、その話を友人にしたところ「違法業者の可能性が高く、トラブルが起きても責任を取ってもらえない」と忠告を受けたという。
結果として、女性は次回予約をキャンセルし、ヤミ看護師のLINEをブロックしたそうだ。