初戦は大会7日目。尽誠学園と…
そんな東大阪大柏原の初戦は、大会第7日目の第3試合。迎える相手は、9年ぶり出場の香川・尽誠学園。MLBでも活躍した故・伊良部秀輝氏や谷佳知氏ら多くのプロ選手を輩出する名門だ。
「あとは、選手たちの力を信じて、万全のコンディションで挑むだけ。どれだけ頭で理解をしていても、やっぱり甲子園は独特で特別な場所。アホになる必要がある場面では、僕がまず率先してアホになろうと思っています(笑)。これまではプロで活躍する坂本勇人(現巨人)ら同級生に、僕自身が力をもらってきた。その恩返しが、少しでもできたらいいですね」
今大会では、履正社で一時代を築いた恩師・岡田龍生監督の率いる東洋大姫路も、激戦区・兵庫を制して、奇しくも東大阪大柏原と同じく14年ぶりに夏の甲子園に出場する。“浪速のミニラ”と呼ばれた土井の高校当時を知るファンからは「甲子園で師弟対決の実現を」との期待も高まる。
「岡田先生からは“おまえだけ行ってたら何言われるかわからんかったから、行けてよかったわ”と連絡をもらいました(笑)。みなさんの期待に応えられるかは別として、子どもたちがせっかく連れてきてくれた夢舞台。僕自身も全力で楽しみたいと思います!」
筋書きのない、時にフィクションを超えるドラマが生まれる夏の甲子園。激戦区・大阪に新時代の到来を予感させる、東大阪大柏原が足元から起こす“旋風”に注目だ。
●土井健大(どい・けんた)
1989年、兵庫県芦屋市出身。履正社では主将も務めた高3春にセンバツ出場。高校通算43本塁打を誇る強打の捕手として、06年の高校生ドラフト5巡目でオリックスへと入団した。10年オフに戦力外通告を受けて、13年までは育成選手として巨人でプレー。社会人野球ミキハウスを経て、軟式の大阪シティ信用金庫で現役を引退。17年12月から東大阪大柏原のコーチに就任し、翌年秋から監督を務める。田中将大、坂本勇人(ともに巨人)らは同郷で同学年。履正社時代の愛称“浪速のミニラ”は1学年上で“浪速のゴジラ”と呼ばれたT-岡田氏にあやかったもの。
取材・文/鈴木長月 写真/本人提供(一部、学校HPより)