「7月末までに辞職する」と言っていたが手続きナシ
田久保市長はなぜこれほど早く辞意を撤回できるのか。経緯を考えると、そもそも辞職することを本当に考えたのかという疑問も浮かんでくる。
伊東市関係者が7月の動きを話す。
「東洋大卒の学歴が嘘だったことが隠せなくなった田久保氏は、7月7日の会見でそれを認めるとともに、自分の卒業の証しとして市議会議長らにチラ見せしていた“卒業証書”は静岡地検に提出して調べてもらうと言い始めました。
同時に、検察への提出手続きを終えれば『速やかに辞任をしたい』と言い切り、その上で『再度市長選挙に立候補したい』とも言ったのです。この三つを今後の行動として約束した形です。
偽物らしい卒業証書を地検に渡すのは市議会の調査特別委員会(百条委)の提出要求を拒む目的とみられていました。ところが市長は7月18日になって、公職選挙法の学歴詐称の疑いで告発されたことを理由に、自分の刑事訴追につながる可能性があるして、百条委だけでなく地検にも提出しない態度を取り始めたんです」(伊東市関係者)
こうなると検察への提出手続き後に辞任するとの約束はどうなるかとの疑問がわく。記者団から「いつ辞めるのか」とその場で聞かれた田久保市長は「今月中には辞職という形にしたいというのが私の希望」と述べ、7月末までに辞職する意思を複数回表明していた。
だが、この時点で田久保氏の言動はすでに一致していなかったとの指摘がある。
「市長が辞めるのなら退任日の20日前には市議会議長に辞職願などを提出し、辞職の意思を伝える必要があります。もっと急いで退任したい場合は辞職願を出した上で議会の臨時会を開き議会の過半数の承認で認められます。
このため7月中に辞職する意思があるなら、通常は遅くとも7月11日には辞職願を提出しなければならなかったんです」(伊東市関係者)
つまり7月18日になって「7月末」の退職希望を口にすること自体、手続き的にありえないというのだ。