国民民主などを巻き込んだかたちでの連立拡大の議論が本格化か 

“ポスト石破”を巡る議論が本格化する中、前出の自民党の重要閣僚経験者は、こう語った。

「いざ“戦争”をしたら強いのは進次郎だね」

自民党派閥の裏金事件を受け、40人以上のメンバーを抱える麻生派(志公会)は存続しているものの、それ以外の派閥は解消された。派閥談合的な動きがやりにくくなる中での総裁選は「純粋投票」の側面が強くなる。“選挙の顔”として、党内から幅広い支持を得やすいのは小泉氏というわけだ。

小泉進次郎氏(本人Xより)
小泉進次郎氏(本人Xより)

政治解説者の篠原文也氏はこう指摘する。

「大事なのは、時代がリーダーをつくるということです。いまは“乱世”ですから、林芳正官房長官や加藤勝信財務相といった実務型の政治家には風が吹きにくい。

その点、リベラル色の強い石破政権で自民党から離れてしまった保守層を取り戻すために、高市氏や小林鷹之元経済安保相という選択肢は当然出てくる。高市氏については女性初の総理になるという点は強みです。前回総裁選で、麻生氏が支援していた点も注目されます。

林芳正官房長官(首相官邸Xより)
林芳正官房長官(首相官邸Xより)

いっぽうで、劇場型の要素もある小泉氏を、自民党の救世主として求める声も高まるでしょう。農水相として奮闘した小泉氏は、前回総裁選で石破総理を支援した勢力も、乗りやすいです。

いずれにしても、自・公が衆参で過半数を割る時代が、しばらくは続きます。3年後の参院選で自民は75の改選議員がいますが、それを維持した上で、今回の参院選での負けを取り返すことは困難だとみられているからです。

高市早苗氏(本人Xより)
高市早苗氏(本人Xより)

現状では、野党が一枚岩となり、政権交代を迫ることはハードルが高いとみられている。本格的な予算審議を前に、秋の臨時国会以降は、国民民主などを巻き込んだかたちでの連立拡大の議論が本格化するでしょう。そうすれば、自・公・国の枠組みの中で“玉木総理”といったプランも現実味を帯びる。その意味では、野党が乗りやすいリーダーというのも、次期総裁選の争点になるかもしれません。いずれにしても、次の自民党総裁は難しい舵取りが求められます」

小林鷹之氏(本人Xより)
小林鷹之氏(本人Xより)
すべての画像を見る

自民党総裁選後には、早期解散があるという見方もくすぶっている。乱世に自民党のリーダーとなるのは誰なのか。自民党は激動の時を迎えている。

取材・文/河野嘉誠