外食したくても思うようにできない庶民の懐事情
消費者の意識の変化もサイゼリヤには追い風だ。「外食したい」にも関わらず、インフレで外食を控えている庶民の姿が浮かび上がってくるからだ。
家計調査によると、2025年5月の外食の出費は1万7474円だった。2019年同月比で11.4%の増加である。市場の値上げによって支払い額が増える一方で、外食頻度は落ちている。
リクルートの「外食市場調査」によると、2019年5月の外食頻度は月4.2回だった。2025年5月は3.9回である。月額の外食費は1割以上増えているにも関わらず、頻度は減って4回を下回った。
飲食店情報サイト「ぐるなび」が行なった外食の意向調査(「2025年の外食産業見通し」)では、2025年に「外食頻度を増やしたい」との回答は2割に及んでいる。そして、利用したい店の特徴で「お得感がある」との回答は4割近くに及ぶ。
コンビニではすでに安値への回帰が始まっている。「うれしい値!宣言」で価格訴求力を高めたセブンイレブンは、客数が回復に転じた。ローソンも値段を据え置いて50%増量した「盛りすぎチャレンジ」弁当が好調だ。
近年の物価高のあおりを受けて、特に若者はコストパフォーマンスを重視するようになった。サイゼリヤのようなシェアがしやすく値ごろ感があり、品質が安定しているブランドは最適となるはずだ。
市場傾向から見ても、今後十分な出店余地が残されているように見える。