子どもには紫外線がメリットになっている可能性も
「紫外線は角膜炎(雪目)や翼状片、白内障などを引き起こし、網膜にもダメージを与えて加齢黄斑変性のリスクを高めますが、UVカット機能付きサングラスは適切なものを選べば眼への紫外線曝露を約90%カットでき、さらに、UV400表示レンズならUV-A/B両波長を99%以上遮断すると言われています。
しかし一方で、子どもは屋外で活動することが近視の進行抑制に有効とされ、その一因として紫外線も関与すると考えられています。つまり、子どもの場合は紫外線をすべてカットすべきとは言えないのが現状です」(ドクターK氏、以下同)
特に、登下校中の片道20分程度ほどの短い時間ならば、目への影響はあまりないと考えられるため、近視の進行抑制を考えると着けるメリットはあるとは言えないという。
そのうえで、「お子さんの場合は、紫外線をサングラスで避けるのではなく、帽子や日陰をうまく利用して、紫外線を直接目に浴びない対策が有効です」とドクターK氏は話す。
紫外線を完全に防ぐことが、必ずしも子どもの発育にとって最善とは限らない。それでも、いまや日本の夏は、かつての感覚が通用しない“異常な夏”に変わりつつある。サングラスを含めた「猛暑から身を守る装備」は、大人も子どもも、誰かの目を気にせず、自由に、当たり前に選べる社会であってほしい。
取材・文/集英社オンライン編集部