80年代の夏とは全く違う?

さらに、サングラス着用の波は学校にも広がりつつある。メガネブランド「Zoff」は2025年夏、紫外線を100%カットする"SUNCUT Glasses"を発表。東京都内の女子中高一貫校と連携し、制服にサングラスを取り入れるプロジェクトを開始した。

WHO(世界保健機関)によれば、人が一生で浴びる紫外線の半分以上は18歳までに浴びるとされている。にもかかわらず、日常的にサングラスを着用している日本人は2割に満たない。

Zoffを運営する「インターメスティック」の上野博史代表取締役社長は「本当はかけたいのに、校則が障壁になっている」と語り、今後は欧米並みのサングラス着用率を目指していきたいと語った。

暑い夏を過ごす現代の学生
暑い夏を過ごす現代の学生

では、実際に近年の猛暑はどれほど過酷なのか。1980年代は、年間の猛暑日日数がゼロだった年が10年のうち6回。多くても年に3日程度で、平均して1年に1日あるかないかだった。続く2000年代前半も、まだ「普通の夏」が残っていた。猛暑日ゼロの年が2回あり、多い年でも年間8日程度にとどまっていた。

ところが最近10年では、猛暑日がゼロの年は一度もない。むしろ年間20日以上を記録することが当たり前になっている。2023年や2024年は、都心で20日を超える猛暑日を記録している。つまり、1990年代の"普通の夏"が、今では"危険な夏"に変貌しているのだ。

こうしたことから、SNSでも、我が子にサングラスを着用させたいと願う保護者の声も多く確認できる。

〈こんだけ日差しが強いと登下校にサングラス必要じゃないかと思ってる。けど流石に学校に聞けない〉

〈日傘を使うの当たり前として、次は登下校のサングラスを使用を許可して!〉

〈子どもの日焼け止めもサングラスも日傘も全部認めないとまた死人が出るのでは?〉

では、医療の立場から見たとき、サングラスは本当に健康に効果があるのか。そして、子どもが着ける必要性はあるのか。眼科専門医で、SNSで多くの情報を発信している・ドクターK氏に話を聞いた。