自民からも国民からも無党派層からも票をとる…各党が戦々恐々 

「日本人ファースト」をキャッチコピーに掲げ、「外国人による土地購入を厳格化」「医療保険の利用条件を明確化」などの主張を展開し、最近、SNSを中心に支持を拡大している参政党。 

銀座での演説には60人ほどの支持者が集まっていた(撮影/集英社オンライン)
銀座での演説には60人ほどの支持者が集まっていた(撮影/集英社オンライン)

ただ、過去には独自の主張を繰り返し、批判を浴びてきた党でもある。

神谷氏自身の「天皇陛下に側室をやっぱりたくさん持っていただいて、たくさん子どもを作っていただくと。昔はそうしていたわけですよね。そういったことも、やるべきなんじゃないか」といった発言や、コロナパンデミックは仕組まれたものという陰謀論、反マスク、反新型コロナワクチンのスタンスが物議をかもしてきた。

さらに「農薬によってがんが増えている」「現在の農業従事者の多くが、人体に有害な食材を生産している状態」と演説や著作の中で訴えており、農業従事者の反発を誘ったことも。

今年に入り選挙を意識したのか、このような極端な主張は抑えているものの、5月にも沖縄戦について「日本軍の人たちが沖縄の人たちを殺したわけではない」と発言。沖縄戦では、旧日本軍の兵士が住民を殺害したという証言が県内各地で残されており、沖縄をはじめ多方面から批判の声があがった。

しかし、支持者はこうした参政党への批判も意に介さず“心酔”している様子だ。

支持者の30代男性は「『カルトだ』という意見も見ますけど、代表が全部嘘と言い切ってくれるので気持ちいいです」と、神谷氏の発言を信じ切っているようだ。

また、60代女性は「参政党の決起集会などのイベントは数万人が集まったそうですけど、テレビなどで報道がなかったので何か不都合なことがあるんだろうなと思いました」と、メディアの“陰謀”を疑っていた。

こうした参政党支持の波は当初はSNSを中心に熱狂的な支持者の間のみにとどまっているとみられていたが、極端な主張を抑えた効果もあってか、とくに今年に入り政党支持率がじわじわと上昇。読売新聞の世論調査(6月27~29日)では、国民民主党と並ぶ5%の支持率となり、自民、立憲に次ぐ3位タイとなった。

とある複数人区の都道府県を取材する全国紙記者は、こう語る。

「ある情勢調査では、選挙が弱いと言われていた自民党の2人目の候補よりも、参政党の候補のほうが上回っているデータが出たそうです。主にこれまで自民に入れていた保守層や、『山尾騒動』で国民民主から離れた支持者が参政党に流れているようです」

その勢いを反映するように、参院選の前哨戦とされた都議選では、世田谷区、練馬区、大田区の3選挙区で計3議席を獲得。

とくに世田谷区では、自民候補に次いで2位。比較的リベラルな地盤で、立憲は現職1人しか立候補していなかったにもかかわらず、立憲候補を上回ったことに、永田町からは驚きの声が上がった。

新橋での演説の様子(撮影/集英社オンライン)
新橋での演説の様子(撮影/集英社オンライン)

そのこともあり、参政党が支持者を奪っているとされる自民や国民民主だけでなく、立憲からも警戒の声が出ている。

「参政党は右派的な政策だけでなく、『フリースクールなどすべての子どもに最適で多様な教育環境を』『オーガニック給食を推進する』などの主張もしていて、リベラル層や無党派層に受け入れられやすいのだろう」(立憲議員)