「みんなの更衣室」導入に見られる民間施設の戦略
民間の施設でもこうした更衣室の導入が進んでいる。東京都あきる野市のレジャー施設「東京サマーランド」のプールでは、2017年頃から「みんなの更衣室」を導入している。
同施設では、2022年の東京都の公衆浴場に関する条例改正に伴い、「7歳以上は異性の更衣室への入室禁止」としており、7歳以上の異性の子どもと一緒に更衣室を利用する場合は「みんなの更衣室」を案内しているという。担当者は次のように話した。
「夏季のレジャーシーズンには多くの家族連れやグループが来場されますが、従来の更衣室では、個別のスペースや仕切りが不十分な場合もあり、利用者の不安や不快感を解消する必要がありました。そのため、プライバシーを重視した更衣環境の整備が求められました。また、衛生管理や感染症予防の観点からも、個別の更衣スペースや清潔な環境の整備が重要視されました」
担当者によれば、より快適で使いやすい更衣室の導入や改修を計画することで、来場者のリピート率や口コミ評価の向上を図ること、また他のレジャー施設との差別化や、より魅力的な環境づくりを進めることも、「みんなの更衣室」の導入に至った背景にあるという。
特に夏季シーズンは多くの来場者が訪れるようだが、これまで更衣室をめぐるトラブルなどは発生していないと担当者は話した。
利用者が施設のルールを守ることはもちろん大前提としてあるが、一方でジェンダーをめぐる社会のあり方や人々の意識が大きく変化してきているのも事実だ。こうした更衣室の導入がさらに進むことで、誰もが安心して水のレジャーを楽しめるようになるのではないだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班