最重要アイテムはトイレ!
トイレの備蓄が必要な理由
ライフライン代替アイテムで、私が最重要アイテムと考えているのが、「トイレ」です。トイレは命に直結した問題です。
東日本大震災の時、7割近くの人が6時間以内にトイレに行きたくなったということです(日本トイレ研究所調べ)。
災害が起きて、しばらくは飲んだり食べたりしなくても過ごせると思いますが、トイレには行きたくなります。また、トイレを我慢するようになると、飲んだり食べたりすることも控えるようになり、体調の悪化にもつながります。
「災害時、トイレは流さない」と、覚えておいてください。地震では、マンションの場合、揺れで配管が壊れていたら、下の階の人が水漏れの被害を受けてしまいます。低層階の方も、うまく流れず、逆流してしまうという恐れもあります。
また水害においては、豪雨で川が溢れそうな状況では、排水機能も限界の状態。被害を拡大しないためにもトイレを流すことは控えたほうが良いのです。
以前はお風呂の水などを使って勢いよく流す、といった方法も紹介されていましたが、上下水道、配管が復旧するまでは、オススメできません。
自宅でもトイレを備蓄する理由
家のトイレが流せない場合、あなたならどうしますか? 最寄りに設置される仮設トイレを使うと考える方もいると思います。東日本大震災では避難所に仮設トイレが届くまで、1週間以上かかった自治体が半数ほどだったそうです(日本トイレ研究所調べ)。
また、夜間や雨の中、トイレのたびに仮設トイレに向かうのはかなりのストレスです。犯罪のリスクもあります。少なくとも1週間分くらいは、自宅に水を使わないトイレを用意しておいたほうが良いです。
大人では、1日平均5回くらいトイレに行くと言われているので、1日の回数×1週間分×家族の人数分、必要です。
水で流さないトイレの使い方
簡易トイレ、非常用トイレをご存知ですか? 袋の中に用を足すものです。便袋と凝固剤がセットになっているものが多く、直接便器にかぶせるものや、ダンボール箱に便座がついているものなど様々あります。
トイレの代替アイテム
市販の非常用トイレを1週間分用意しようとすると、大人2人でも100回分ほどとなります。使うか分からないものをそんなに買いたくないと思われる方は、普段使っているもので代用することもできます。
①トイレに被せるもの、②液体を吸収するもの、③臭いを出さないようにするもの。この3点があればいいのです。
①トイレに被せるものとして、普段使っているゴミ袋、②凝固剤の代わりには、赤ちゃん用や介護用のオムツなどが活用できます。サイズアウトしたオムツは捨てずに取っておくと役立つ日が来るかもしれません。その他、ペットがいる家庭なら、ペット用のトイレシートや猫砂。新聞を購読している家庭なら新聞紙など。
ちなみに、凝固剤だけを購入することもでき、こちらのほうがリーズナブルです。
そして、③臭いを出さないようにするものとして、オムツ用の防臭袋を多めに買っておくと役立つでしょう。オススメは、医療用の排泄物を入れる防臭袋を開発したメーカーのものです。
災害の規模にもよりますが、ゴミ収集の再開までは時間がかかります。それまで自宅の敷地内、マンションなどでは、お風呂場など密閉された空間に保管しておきましょう。
文/奥村奈津美 写真/Shutterstock