窮地のジンジンさんを助けた元同級生たち

そんななか、なぜか4月からXアカウントを作成し、自分の境遇や日々の試験勉強の様子、そしてポジティブワードを発信するようになった。

「じつは数少ない大学時代の友達が私の困窮した生活を見かねて、『なかなかないキャリアなんだから、それを発信すればバズって生活費の足しになるかもよ』と提案してくれたんです。

それでXをやってみたらすごく反響があってこうやってメディアの方の取材も受けて……僕も友人もここまでとは思ってなかったのでビックリしています」

ジンジンさんのXアカウント。アイコンのイラストは友人のひとりが書いてくれたもの
ジンジンさんのXアカウント。アイコンのイラストは友人のひとりが書いてくれたもの

その友人とは、ひと回り近く年下で大学時代に“同級生だった時期”もある、現在、外科医師となって10年目のT先生だ。

「ジンジンはこういうキャラクターだから学生時代はやや浮いていたけど、私ともうひとりの友人はそういうことをあまり気にしない性格なので、よく話していたんです。

で、私が医師になって市中の病院に勤めて6年ぶりに広島大学へ戻ってきたら『あれ、まだいる』と(笑)」(T先生)

毎朝ルーティーンで大学の図書館の新聞を読んでいる謎のおじさんはキャンパス内ですっかり有名人となっており、旧友との再会は必然だった。

T先生はジンジンさんについてこう語る。

広島大学の薬理学の先生の好意で、研究室を自習スペースとして貸してもらっている
広島大学の自習スペースで勉強するジンジンさん

「普通は国試に何度も落ちたら心が折れたり、しばらく休んでから勉強を再開するものですが、ジンジンは落ちた直後から、朝から晩まで研究室で勉強してる。

そういう必死な姿を見たら助けたくなりますよね。まぁ、それだけ勉強しててなんで落ちるんだって話ではありますが……(苦笑)」

バイトの兼ね合いもあるが、基本的に週7で大学の自習スペースに訪れ1日約7時間は自習しているジンジンさんの姿は、人の心を揺さぶる何かがあったということだろう。