「漫画原作の巻」(ジャンプ・コミックス197巻収録)

今回は、原稿の上がりが遅い漫画原作者に振り回される新人漫画家・明日のびるが体験する、驚異の漫画制作術にまつわるお話をお届けする。

大物原作者による原作の上がりが遅いため、作画期間がわずか一日しか取れないことが明らかになり、絶体絶命ののびるに、両さんが提案したのは……?

漫画家の漫画執筆とは、お話作り、台詞、コマ割り、作画など漫画制作の全行程をひとりで行うことが前提だ。

もちろん、編集者との共同作業、アシスタント達を使っての作画、仕上げの共同作業はあるが、基本的に作品作りの全行程にわたって全権限と責任を持って制作をしていく。

一方で、原作者と漫画家という分業制が採られる場合もある。この場合、両者はどちらも「作者」となる。

原作は小説や脚本形式、つまり文字で制作されることが多かったが、近年ではコマ割りや構図、セリフなどを表した絵コンテ形式の「ネーム」までを原作者が作るケースも多いという。漫画家は作画を行う際に、これらをアレンジ・変更することもあるが、その度合いややり方は、コンビの関係性や作品によってさまざまだ。

この点に着目すると、単に分業というよりも、共同作業といったほうがより適切かも知れない。

もともと漫画は、編集者とのディスカッションによって作られることも多く、個人の創作活動の産物とは言い切れない一面がある。それに、ふたりのクリエイターが自分の持つ個性や方法論をひとつの作品に注ぎ込み、リレーションを行うことで、新たな可能性が生まれる可能性は大いにある。

それでは次のページから、逆境の新人漫画家を導いて見事作品の大ヒットへとつなげる、両さん流漫画術をお楽しみください!!