トランプの政策は米国のインフレを加速させるばかり

トランプの戦略の一つが、それを促進するために“関税”で脅すことだ。だから米国に生産拠点をつくるべきなんだと。けれども、そうした米国の関税や追加関税自体が結果的にドル需要を増やすことから、ドル高を促す。ドル高をつくってしまうわけである。

トランプ関税で「米国の製造業復活」があり得ない理由…その真の狙いとトランプがロールモデルとする第25代大統領とは?_2

追加関税に関して、私がトランプの発言を聞いていて感じたのは、彼はいま私が記したようなことをもたらす、つまり、狂気の沙汰だということを知らないわけがないということだ。

どうやっても高関税政策が、最終的にインフレを高めるのは必至である。エネルギーはカナダから米国に輸出されてくる。それは重油で、米国では採掘できない。なおかつ一部電力もカナダは米国に売っている。メキシコから様々な農産物を輸入している。代表的なのはアボカド。

さらにコロンビアに対して、米国は追加関税の措置を打つと発表した。いわゆるコロンビアからの不法移民を母国に強制送還しようとしたら、コロンビアがそれを却下したからだった。コロンビアが却下したのは、強制送還そのものではなく、そのやり方があまりにも〝非人道的〟であったからだ。米国政府が不法移民に手錠をかけて、軍用機で母国に移送しようとしたからだった。

「ちょっと待って。彼らは犯罪者ではない。軍用機ではなく、民間機に乗せて送ってくれ」とコロンビア政府が抗議したら、トランプが怒った。結局、コロンビアに対しても25%の追加輸入関税が課されることになった。コロンビアが米国に輸出しているものは何か。一番はコーヒー豆だ。

結局、トランプがやっていることはすべて、米国のインフレを加速させることばかりなのである。

おまけにベッセント米財務長官は、「強いドル」政策への支持を表明するとともに、米国債をめぐり中長期債の発行プランを修正する計画はないと述べている始末だ。