欲を抑えないし、抑える気もない
–––本の巻末には、そういった好きなものたちを集めた“趣味部屋”の写真も掲載していますが、すごい量のコレクションですね。あれは物欲から集めたんですか?
よくない癖ですよ。自分でもわかってるんですけど、捨てられない。めちゃめちゃ物欲です。というか全部の欲が強くて、常にすべてを欲しているタイプ。
なかでも物欲は強くて、昔は借金まみれでもギターとかMA-1(フライトジャケット)を買っていたし、欲しいものを必ず手中にしたがるとこは今も変わらない。欲を抑えられないし、抑える気もないんです。
だから働く原点も欲のため。欲がなくなったら働く意味がないんで何もしないです。コレクションするのも集めたっていう達成感を得たいからで、しかもそれは次の欲を満たすためというか。イメージで言ったらハシゴを登り続けるため次のハシゴを置くって感じ。そうやってせっせと自分で欲を育成してるんです。
–––いつかすべてを手に入れて欲がなくなる怖さはありません?
まったくない。世の中にモノがあふれ返っている以上、多分死ぬまで欲が尽きることはないです。嫁さんもね、欲まみれなオレを知っているから、モノが増えるたび「え?」ってなりますけど、どうせ買うやろって感じで諦めモードに入ってる。
なので今後もどんどん増えていくんじゃないですか。しかもコレクション的なものは捨てることはない。オートバイも現状6台あって、すでにガレージがパンパンですけど、まだいくでしょうね。
––––今一番欲しいものって何ですか?
土地ですね。別宅みたいなのが欲しくて、そこにバイクとか車とか突っ込んで“集欲部屋”を作りたい。で、最後、オレの寿命が尽きかけたら全部焼いて、それを見ながらゴーゴーと死んでいきます。
––––本能寺の変ですか(笑)。くっきー!さんは、物欲といい、ときに「身体を縮めたい」って発言したり、学生服にフリルをつけたり、なんだか女子っぽさを感じますね。
僕、心は女子ですから。雑貨屋さんがすごい好き。「Francfranc」とかめっちゃ楽しくて「Fire-King」のグラスとかも集めてますもん。
実は僕の中には“ファンシーくっきー!”がめっちゃいるんですよ。洋服にアレンジを加えたり、手先も器用ですしね。鋲ジャンとか作るのもコツがいるんですけど、すぐにできるし、ミシンも自分でやるし。あと紐でミサンガも編んだりします。
––––今回の本には“ファンシーくっきー!”の一面はほとんど出ていなかったので、もっと見たいですね。
まだまだ浅瀬しか見せてないですからね。潮干狩りができるくらいの浅瀬で、くるぶしも浸かっていないかもしれない。なのでいつか“ファンシーくっきー!”本が出たらまた取材してください。もっと奥に本当のくっきー!がおるんで!
取材・文/若松正子 写真/わけとく
<プロフィール>
野性爆弾 くっきー!
1976年3月12日生まれ。滋賀県出身。お笑いコンビ・野性爆弾として唯一無二の独特な芸風を確立。独創的な絵画制作、音楽作りなどクリエイティブ活動も多岐にわたり、バイク、デニム、腕時計など造詣も深くオリジナル作品も企画。YouTube番組「くっきー!の引田くっきー!」では自身の偏愛趣味と独自のネタを配信。「第41回ベストジーニスト2024」で「協議会選出部門」受賞。