あえて王道を外す美学

––––くっきー!さんは、絵でも音楽でも一度ハマると深掘りがハンパないですよね。モノであれば何でもカスタマイズしちゃうし……。

人と違うのが好きなんでしょうね。キン消しもただ集めるんじゃなく、針金さして関節が動くようにしたりとか。

遊ぶもんがあんまなかったからハマるととことんいくし、そのマイブームが終わらない。ガキの頃に流行ったやつをいまだに買ってるんで、「好き」の系譜が大人になってもずっと続いているんですよ。

––––「好き」の傾向ってあります?

なんやろなぁ。でもやっぱパンクと初期の『ビー・バップ・ハイスクール』とかのヤンキー系にルーツがあるんちゃいますか。

あと、王道から外れてるもんがカッコいいって思ってるとこはずっとあります。モデルガンにハマったときもみんなが憧れるM16(アメリカ軍が採用した自動小銃。ゴルゴ13も愛用)じゃなくて、AK47(旧ソビエトのアサルトライフル。映画では悪役が持ちがち)が好きで。

あんまモテへん感じだけど、それが逆にいいというか、どっかいびつなものが好きというか。そもそもカッコいいって言われるのは恥ずかしいタイプなので、ゴレンジャーなら赤をあえて外して、緑とか黄色にいきたくなるんですよね。

洋服からバイクまで、こよなくヴィンテージを愛する
洋服からバイクまで、こよなくヴィンテージを愛する

––––あえて“外す”のが子どもの頃からの美学?

そうじゃない時代もあったんですけど、小学校の頃、サラサラのセンター分けが流行ったときにカッコよさを諦めた気がする。僕、すごい天パなんですけど、当時、無理やりセンター分けして恥ずかしい思いをしまして。

–––本にも「湿気で髪の毛が縮み上がって」「漆黒のロールケーキが2本乗ってるかのよう」だったって。

あれは絶望でした。便所で顔を真っ赤にして頭をこすってたこと今でも覚えてますもん。そこで「オレはカッコよくなれへん」って確定した。その瞬間、王道がダサくなって自分なりに新たなカッコよさを見つけに行くようになったのかなと。

だからザリガニ釣りとかもアメリカザリガニじゃなくてドブザリが好きやったし、ガンプラのザクもシャア専用より量産型のザクが好き。僕がもし女子やったら口紅も赤じゃなく、緑とか黄色とか塗ってヤベぇ女になってたと思いますよ。