ボブ・ディラン、初コンサートの観客はたった53人、ファーストアルバムは5000枚も売れず…「プロデューサーの道楽」と呼ばれた若き日々
1941年5月24日生まれで、今年84歳となるボブ・ディラン。全世界アルバム・トータル・セールスは1億2500万枚を超え、ノーベル文学賞を受賞したこともある伝説的歌手だが、その意外なデビュー頃の逸話をお届けしよう。
デビューアルバムは5000枚も売れず…
ところがそれから半年後。最初のアルバム『ボブ・ディラン』がリリースされたが期待に応えられず、5000枚にも満たない売上に終わる。
コロムビアの役員たちは、ディランのことを「ハモンドの道楽」と呼ぶことになった。
ボブ・ディランが20歳の時にリリースされた記念すべきデビューアルバム『ボブ・ディラン』。わずか2日間で録り終えたといわれている。写真は『ボブ・ディラン【完全生産限定盤】』(2025年2月26日発売、Sony Music)のジャケット写真
ハモンドはそんなことでディランをレーベルから手放したりしなかった。
そして『風に吹かれて』をはじめ、『北国の少女』『戦争の親玉』『はげしい雨が降る』『くよくよするなよ』などを収録した、世界の音楽史に残るアルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』が、1963年に誕生することになるのだ。
『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』は、全英1位を獲得し、ディランの名を一躍世界に知らしめたセカンドアルバム。写真は『フリーホイーリン・ボブ・ディラン【完全生産限定盤】』(2025年2月26日発売、Sony Music)のジャケット写真
ちなみに、このカーネギー・ホールの貴重なコンサートの音源は、後に『Carnegie Chapter Hall』としてブートレッグ(非正規品、いわゆる海賊版)で出回ることになった。
全14曲の内訳は、オリジナルが2曲、ウッディ・ガスリーのカヴァーが2曲、さらにフォークとブルースのトラディショナルを取り混ぜた内容だった。
今聴くと、言葉を吐き捨てるようなディラン独特の唱法が、アルバムをレコーディングする前にすでに完成していたことがわかる。
デビュー直前、53人の観客の前で歌った伝説のコンサートが収録されている『CARNEGIE CHAPTER HALL 1961』(2022年8月31日発売、ETERNAL GROOVES)のジャケット写真
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文/佐藤剛 編集/TAP the POP