「巨人というチームは補強するもの」

――2年で通算74セーブ、防御率1.13と安定した成績を挙げましたが、翌2014年は不振で中継ぎに配置転換されています。フル回転の代償は大きかったのでしょうか。

西村 自分ではそこまで感じてはいないんです。2年間フルで投げた経験もないし、疲れがどうたまるかもわからなかったので。単純に打たれることが増えて、うまくいなかいなと感じていました。

――西村さんがいくら活躍しても、球団は新外国人を獲得するなど、補強の手を緩めませんでした。「自分を信用していないのか?」とプライドを傷つけられることはなかったのですか。

西村 それはなかったですね。巨人というチームは補強するもの、という認識があったので。2012年もマシソンと一度クローザーを入れ替わっていますし、自分が完璧に抑えていたわけではなかったですから。

2020年よりジャイアンツジュニア監督に就任し、指揮を執っている
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――今年の巨人はライデル・マルティネスが中日から移籍し、大勢との強力な8、9回の継投を見せています。西村さんの目にはどう映っていますか?

西村 2人ともタイプが違うので、相手からすると嫌でしょうし、どちらがクローザーになるにしても強いと思いますよ。

――両者の疲弊を抑えるために「ダブルクローザー」という考え方もできると思いますが、どうでしょうか。

西村 うーん、そこは何とも言えません。ただ、今の巨人は他のリリーフ投手もいいので、適度に休ませながら起用できるなら、ケガが減っていいかもしれませんね。

――歴史的に巨人のクローザーが短命に終わっているのは、なぜだと思いますか?

西村 僕の場合は体力不足が原因だったと思います。藤川さんや久保田さんなんかは、ずっと投げていましたからね。

――巨人という球団ならではの特殊性は感じないですか?

西村 巨人だから……というのはあるんですかね。でも、セットアッパーでは山口さんがずっと投げていた(通算273ホールドを記録)わけですから。もし、山口さんがクローザーをしていたら、すごいセーブ数を記録していたかもしれません。

――今後、大勢が再びクローザーに戻って、球団史に残るセーブ記録を残す可能性もあります。どんな期待を持っていますか。

西村 どの役割を任されるかはわかりませんが、ケガをせずに1年間投げられるように頑張ってもらいたいです。彼はボールも強いし、メンタルも強い。テレビで見ていても、普通にやれればすごい成績を残せると思いますから。

取材・文/菊地高弘

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