「先週の土曜日も息子さんを送っていくところを見かけました」

佐々木容疑者は同日午前7時ごろ、自宅で息子の慧太さんの背中を刃物で刺したりロープで首を絞めたりするなどして殺害した疑いがもたれている。同8時ごろに佐々木容疑者が知人とともに石巻署を訪れて「息子を殺した」などと話したため、署員が自宅に急行したところ、慧太さんが意識不明状態で自室で倒れていた。慧太さんは近くの病院に運ばれたが、約3時間後に死亡した。

現場の、2008年までは雇用促進住宅(同年の閣議決定で廃止され、民間に譲渡)だった集合住宅で、佐々木容疑者と慧太さんは3DKの部屋に2人で暮らしていたという。同住宅に住む女性はこう語った。

殺害された息子の慧太さん(写真/知人提供)
殺害された息子の慧太さん(写真/知人提供)
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「ふだん、この住宅に警察やパトカーが来ることなんてなかったのに、28日は朝から階段の前にパトカーが停まっていて、午前11時ごろに私が家を出たころには規制線も張られていました。

それを見て何があったのかなと思っていたところ、夜になってマスコミの方が来て事件のことを知りました。ここの間取りは3DKで家賃は37000円です。いろいろな会社が借り上げて寮や社宅としても使っているので、入れ替わりは激しくて近所づきあいもあまりないんですよね」

佐々木容疑者と慧太さんが野球のグラブやバットを車に積んで、仲良く父子で出かける姿を多くの住民が見かけていたという。同住宅の男性住民はこう証言した。

「事件当日は朝9時ごろ、救急車や消防車がサイレンを鳴らしてきたと思ったら警察も来て、規制線が張られて騒ぎになりました。ただ、その日もそれ以外のふだんも、佐々木さんのお宅から何か言い争う声や物音がすることはありませんでした。

佐々木さんを見かけるようになったのは2、3年前で、ふだんからすれ違えば『おはようございます』『こんにちは』と声に出して挨拶するかたでした。仕事の中身までは存じ上げませんが、工場で着るような作業服姿で毎朝出かけていましたね。見た目も本当に普通で、むしろ優しそうなかたに見えましたよ。息子さんも普通の真面目そうな子でした」

現場となった集合住宅(撮影/集英社オンライン)
現場となった集合住宅(撮影/集英社オンライン)

母親の存在は見えなかったが、父と息子の関係は良好に見えたという。男性はこう続けた。

「息子さんは中学時代、学区内の中学ではなく越境通学だったんです。車で10分ほどの距離だったんですが、お父さんが毎朝車で送っていましたよ。最近も土日に私服姿の佐々木さんが息子さんを車に乗せて出かけることがあったので、部活の送迎かなと思っていました。

家に2人以外の人が出入りしているのを見たことがなかったし、佐々木さんが買い物袋をぶら下げて帰ってくるのもよく見たので、男手ひとつだったと思いますよ。佐々木さんは優しそうに見えたし、先週の土曜日も息子さんを送っていくところを見かけました。だから事件については本当に驚きました」