「本人が知らない間に食品衛生指導員にさせられているのではないか」
新聞社がぶつけたのは「本人が知らない間に食品衛生指導員にさせられているケースがあるのではないか」という疑惑だ。
X氏は、この取材を受けて各地区協会に実態を聞き、新たなことがわかったと説明する。
「県東部の保健所職員の2人の名が、そのエリアの地区食協の食品衛生指導員の名簿に載っていたんです。地区食協は『代々そういう方法でやってきていました』と説明しました。
日食協が『活動実態のない保健所職員の名を載せるのは良くない』というので、問題の地区食協にはやめるように伝えました」(X氏)
保健所業務を補佐する指導員を保健所職員が行なうことはあり得ない。指導員の活動がない人物を登録することは制度を形骸化させる重大な問題だ。
問題の地区食協の会長を当時務めていたB氏に経緯をたずねると、B氏は「細かいことは、たとえあったとしても、ちょっとみんな忘れた」と回答を拒んだ。
いっぽう日食協はこの問題に対し、次のように回答した。
「保健所職員の名が指導員名簿にあったんですか? そういう話はなかったです。山梨からは具体的な問題を聞いていません」(水野一正・日食協常務理事)
指導員名簿の不正記載が日食協に知らされたかどうかについても、日食協と山梨県食協の説明は異なっている。
はっきりしているのは、山梨県で長年続いてきたずさんな食品衛生指導員の養成や運用の実態が、外部の指摘を受けても明らかにされなかったことだ。
それだけではない。さらに取材を進めると、指導員名簿に絡むさらに重大な疑惑が浮上した。それは「ずさん」ではすまされない内容のものだった。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班