活動実態がない保健所職員が指導員として登録されていた
X氏に再度取材し、記録された会議での発言や、何十年ぶりかに行なわれた講習会についてたずねた。
するとX氏は「私、なんて言ったかはっきりもう覚えてないんです」と回答。すべての地区食協で「養成講習会ってやっていない」と県食協職員が発言したことについても、「ここ(県食協)の職員は支部(地区食協)のやってることをよく理解してないはずで、そんなこと言うはずがないと思いますけどね」と答えた。
ただX氏は、指導員の養成方法が「おかしい」との指摘を受けたため是正する方針を会議で話したことは否定しなかった。
なぜ今年になって、数十年ぶりに県食協が講習会を開く方向に舵を切ったのか。
X氏はその理由を当初「各地区協会から『(負担が大きくて)とても日食協が決めているカリキュラムができない』と聞き、じゃあ私ども(県食協)の方でやりましょう、となったのです」と話していた。(♯1)
この説明は各地区食協がそれまで講習会を行なってきたことを前提にしているが、実際には講習会は開かれてこなかった。県食協による講習会開催は地区食協の業務の移管ではなく、数十年ぶりの「再開」といえる。
そこに至った理由を問うていくと、次にX氏は、今回の問題の「始まり」は新聞社の取材だったと言い始めた。
「日食協から取材があったとの連絡がきたんです。『日食協のカリキュラム通りに講習会が開かれていないのではないか』と聞いてきたんだと。その後、その新聞社は私にも直接聞いてきました」(X氏)
しかし日食協の言い分はこれと異なる。
「新聞社の取材があったのは2023年ではなく24年2月です。それを受け全国の(各都道府県の)食品衛生協会に養成講習会は要綱通り開いてほしいと周知しています」(水野一正・日食協常務理事)
この説明の通りなら、新聞社の取材は山梨県で講習会が再開された後の時期のことで、新聞社の指摘が最初にあって講習会の開催に至ったとのX氏の説明は辻褄が合わなくなる。
なぜX氏は事実と違うことを口にするのか。山梨県食協が講習会の再開に追い込まれた本当の原因は依然説明されていない。
ちなみに日食協も山梨県食協も新聞社に疑惑を認めなかったもようで、新聞社は結局報じていない。
しかし、新聞社はもうひとつ重要な疑惑を日食協にぶつけていた。