「政治とカネ」追及はトーンダウン…石破首相・立憲にとってウィンウィン? 

一方、野党第一党の立憲民主党は、商品券問題をはじめとする「政治とカネ」の問題の追及をトーンダウン。

「一番心配なのは中小企業の資金繰りだ」(野田佳彦代表)として、4月中に開かれる予算委員会の集中審議や党首討論では、商品券問題や裏金問題の追及よりも、トランプ関税への対応策を議論する考えだ。

「国民の暮らしがどうなるか心配なときに、いつまでも商品券問題ばかりやっていては、また『立憲は批判ばかり』と言われてしまう。今や立憲よりも支持率が高い国民民主党は経済対策を打ち出してくるだろうし、立憲としても『政治とカネ』の追及はいったん止めざるをえない」(立憲議員)

「国難」ともなると、石破政権への追及は後回しになるというのだ。

石破茂首相(首相官邸公式Xより)
石破茂首相(首相官邸公式Xより)

立憲議員は「トランプ関税への対応は難しいとはいえ、石破首相からしたら、自らが引き起こした商品券問題はかすむことになる。立憲にとっても、事の次第によっては内閣不信任案の提出を見送る理由ができるかもしれない」と、トランプ関税が国内の政局に与える影響を語る。

例年、野党が6月の国会会期末に内閣不信任案を提出し、与党の反対で否決される、という流れは慣例だったが、今年は野党がまとまれば内閣不信任案の可決もありうる状況だ。

ただ、内閣不信任案が可決された場合、衆院が解散され総選挙に突入する可能性もあり、現在、国民民主党の勢いに押されている立憲としては内閣不信任案の提出は衆院の議席を減らすリスクもある。

しかし、内閣不信任案を提出しないと「腰砕け」との批判を浴びる可能性もあり、内閣不信任案をめぐる対応は難しかった。

(写真/Shutterstock)
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その点、トランプ関税による「国難」は内閣不信任案の提出を見送る理由になるかもしれないというのだ。実際、新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年には、立憲は不信任案を提出しなかった経緯がある。

石破首相は2月にトランプ大統領と会談した後、「これから先、かなり落ち着いてじっくり話ができる印象をもった」「(相性は)合うと思う」と語っていた。トランプ大統領が与える石破政権への影響を、最小限に食い止められるか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班