「悪しき風習が受け継がれていたんです」

元テレ朝局員で、かつて友寄氏の先輩だった人物は、2019年からの経費の不正利用がこれまで指摘されなかった背景に、”後ろ盾”の存在を指摘する。

「テレ朝は、早河洋代表取締役会長の”独裁”といっていい状態で、会長に気に入られることにより出世コースに乗れるともっぱらでした。会長自身も1985年に『ニュースステーション』を開始させて成功を収め、社長にまでのぼりつめたので敏腕ですが、好き嫌いがはっきりしているんです。

社内では友寄君は会長のお気に入りだということは有名で、そのせいで友寄君の上司ですら彼にものを言えない状態だった。だから友寄君も調子にのっていると言われていたし、社内に敵も多かった印象です」

ちなみに、友寄氏の育ての親的な存在のディレクターもパワハラ気質だったという。

「友寄君は入社後、テレ朝の功績者のひとりで取締役でもあるHさんの下でディレクターをしていました、このHさんは『Hジョンイル』と恐れられるほどのパワハラ気質だっつたので、友寄君もその洗礼を受けてるでしょうし、それが当たり前だと思っていた節もある。その意味では、悪しき風習が受け継がれたのかもしれません」

テレビ朝日付近にて
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悪しき風習には「金の問題」もあるとか。前出の元テレビ朝日の制作関係者によれば「海外ロケは経費を誤魔化しやすい一面があった」という。

「海外ロケ番組にはだいたいコーディネーターを使いますが、なかには『領収書の金額は都合いいように書けますよ』なんて言ってきたりする人もいて、経費をごまかしやすいんです。

今回、不正受領の詳細は公になっていませんが、プロデユーサーとなるとつかえるお金はいろいろある。それが数百万円単位となると、さすがにやりすぎでしたね」

だが、この元テレ朝局員は「処分されても、早河会長の判断次第ではしれっと戻ってくるのでは…」とこれまた“悪しき風習”を口にし、肩を落とした。

「かつて女性アナウンサーにセクハラ行為をしたKプロデューサーは謹慎後に懲戒処分となりましたが、最近はしれっと編成室に出入りしていまして、この前もフツーに報道フロアにいたそうです。友寄君がうまく早河会長にすり寄りさえすれば、すぐさま元の立場に戻れると思いますよ。まあ、反省してほしいとは思いますけどね……」

テレビ朝日は「会社経費の不適切な使用やハラスメント行為など、重大なコンプライアンス違反となる事案が発生したことを重く受け止め、視聴者、関係者の皆様の信頼を裏切る結果になったことを深くお詫びいたします」とコメントしている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班