「ナイスなシューズで大行進の巻」(ジャンプ・コミックス102巻収録)

今回は、「エアマックス」が高い人気を誇り、高額で取引されていることを知った両さんが、スニーカーを買い漁るお話をお届けする。

本作が書かれたのは、1996年のこと。この年は、ナイキの「エアマックス95」が人気になったことによる、スニーカーのプレミア市場が誕生した時期だった。

かかとに空気を密封してクッション効果をねらうとともに、斬新な色使いとデザインをまとったこのスニーカーの人気の理由とは……。

まず、バスケットボール界のトップ選手、マイケル・ジョーダンやストリート系ファッション界隈、そして日本では漫画『SLAM DUNK』の影響などで、バスケットボール用のシューズ、いわゆる「バッシュ」が注目されていた。

その後「エアマックス」を、イチローやキムタクら、近年でいうインフルエンサーがこぞって身につけたこともあって、同製品は大ヒット。使用すれば摩耗してくたびれていく、いわば消耗品だった運動靴が、時代のファッションアイテムと化し、プレミアム市場を形成していったのだ。

そして未使用品はもちろんのこと、中古品や旧製品をも含めて高額での取引が行われるようになると、買い漁り&転売が横行し、はては人が履いている同製品を狙って強奪する「エアマックス狩り」なる犯罪までが発生した。

もっとも、ネットマーケットの登場によりごく一般の人々がリサイクルの名目で転売を行い、転売で稼ぐのが卑しい行為ではなく賢い者のすることだと「転売のススメ」を説く輩がぞろぞろ……な現代に比べれば、かわいいものかもしれない。

なにしろ、人間が生きるのに必要な「衣食住」のうち、もっとも重要な「食」を、しかも日本人の主食「米」を転売して利鞘を得ようとする連中まで現れている今日この頃なのだ。

本作での両さんも、転売上等!とばかりに流行に乗っかっていくのだが……。時代に先がけて儲けの手段を創出するのが常の両さんにしては、流行の後追いをするのは、いささか珍しいパターンだ。

その結果は、はたして……!?

それでは次のページから、スニーカーブームにイッチョ噛みした両さんの儲け話の顛末をお楽しみください!!