現役の小学校教諭からの意見「テストで回答したら×です」

そこで実際に関東在住の現役小学校教諭にこの投稿を見てもらったのだが、「残念ながら、この感想文はテストで回答したら“×”ですね」とバッサリ切り捨てられてしまった。

「兵十がごんを撃ったことを後悔しているという指摘までは正しいのですが、その後悔の理由は、罪の償いのためにごんが栗を届けてくれていたことを知らずに撃ってしまたこと、ごんとは独りもの同士、話せば仲よくなれたかもしれなかったのに……という後悔です。

素直に読めばその考えにいきつくと思いますが、もっと文章の“テクニック”的な面から話すと、最後の『筒口から青いけむりが細く出ていた』という一文。ここが悲しみを現した表現になっています。

私が授業をしていたときも、この投稿した方と同じような感想を書いた生徒がいましたが、他の子の感想を聞いて考えを変えてくれていましたね」(30代・小学校教諭)

新美南吉記念館 ごんぎつねの像
新美南吉記念館 ごんぎつねの像

先生の言うことはもちろんわかる。しかし“多様性を尊重しよう”という考えが強いこの時代。読書の感想や考察を、一つの正解に導く方針は、今回のSNSの反論のように時代錯誤とも指摘されかねない。保護者から「これも正解だろ!」とクレームをつけられないのだろうか。

「物語文の読解ですと、作者がそこに言及している作品を国語の教材として扱うことが多く、『ごんぎつね』もそんな作品の一つで、明確な正解があると言えます。

また、『ごんぎつね』のように小4くらいの国語で扱う物語は、読解の仕方を学ぶ上での分かりやすい教材が重視されるために、結末を読者にゆだねるオープンエンドなものより、きちんと作者が答えを提示している物語が採用されています。

確かに読み方は人それぞれかもしれませんが、ある程度の定石を学ぶのが学校の授業です。そのため、子どもの間違った回答には否定はしないけど肯定もせず、正解に導くようにしています」(同・教諭)