規制は大きな打撃、だが…
また同年10月、米バイデン政権は半導体製造装置を含む、包括的な対中半導体規制を導入した。米国の要請を受け、オランダも2023年9月に輸出規制を導入。同国の半導体製造装置大手ASMLは、最先端EUV(極端紫外線)露光装置の対中輸出を禁止されることとなった。
同年5月には日本政府も半導体製造装置の貿易管理規制を定めた法令改正を公布した。23品目の半導体製造装置の輸出に事前許可が必要となる(42の友好国・地域は除外)。名指しこそしていないものの、事実上の対中輸出規制だ。
こうした輸出規制は、技術面で劣勢にある中国の半導体業界にとって大きな打撃であることは間違いない。だが、これによって中国の半導体産業、そして電子機器など半導体を中核部品として利用する産業が衰退するとは断言できない。
2023年、ファーウェイは中国国内で製造した半導体を用いた新たなスマートフォンを発売した。半導体の技術レベルを測る微細化は7ナノメートル相当と見られ、西側諸国からは数年の遅れがあるものの、大きな技術的突破を果たしたとして世界に衝撃を与えた。
これ以上の微細化にはASMLが独占的に供給しているEUV露光装置が必須となるが、台湾のジャーナリスト・林宏文によると、ファーウェイは2025年までの国産化を目標に研究開発を進めているとされる(高口、2024)。
きわめて難易度が高い技術なので目標通りには進まない可能性はあるが、「中国の実力からすればいずれは開発できる」と林は見ている。