「米を買いませんか?」業者からの電話

米の高騰を受けて江藤拓農林水産大臣は2月7日、政府備蓄米の放出をできるだけ早急に行なう考えを示した。これで果たして米高騰に歯止めは効くのだろうか。仲介業者の間ではさっそく影響が出始めているという。

江藤拓農林水産大臣(本人SNSより)
江藤拓農林水産大臣(本人SNSより)

「先日、備蓄米の放出を検討しているといった報道があった後、うちに『米を買いませんか?』という営業の電話がいくつかかかってきました。おそらく、買い込んでいた業者が、備蓄米の放出で市場価格が下がる前に、米を売りさばいてしまおうと動き出したのではないかと思います」(米の仲介業者)

業者の買占めが本当ならば、備蓄米の放出は確かに、米の値段に大きな影響を及ぼしそうだ。

現在は安い米がどんどん買い占められて値段が上がり、それに伴って、もともと高価だったブランド米も値段が上がっていっている状況だという。一時期は安い米ばかりが買われた結果、急激に安い米だけ値上がりをしてしまい、“くず米”のほうが普通の米よりも高値で取引されるという異常事態も起こっていたそうだ。

前出の米穀店の店主は、そんな状況について「もうめちゃくちゃですよ」とあきれたように笑う。

「私たちが今までお付き合いしている業者に頼んでも、最近は『これ以上は売れない』と断られるケースが増えています。また、今年度は“新米が豊作”なんて言われていますが、農家さんからは『そうでもない』という声も聞きます。もう、なにが本当なのかわかりません。

でも今回の米の価格急騰で、農家さんが例年より収入が増えているらしく、それはいいことだと思っています。そもそも今まで、米の値段が生産コストに対して安すぎたのです。そういう意味では今の値段がスタンダードといえるかもしれません」(都内の米穀店の店主)

昨年夏から続いている令和の米騒動。“米の適正な価格”とはいくらなのか、国全体で見つめなおす機会にもなっていきそうだ。

2025年2月 都内のスーパーの米売り場(集英社オンライン編集部撮影)
2025年2月 都内のスーパーの米売り場(集英社オンライン編集部撮影)
すべての画像を見る

取材・文/集英社オンライン編集部