推定年収700万円の公務員が免職に

専門家の増沢氏からみても、分限免職が実際に施行されるケースはほとんどなく、非常にレアなケースだったという。

ただ、今回の男性職員のように、著しく能力が不足していたり、失態を繰り返す職員を県が雇用しづけることは「納税者への背信行為」で、県の判断は誠意のあるものであったはずだと増沢氏は指摘する。

「報道のような勤務態度であったとするならば、雇用を続けるのは税金の無駄であり、税金の無駄は納税者への背信行為です。さらには50代ということで、無能でも年功序列で給与水準が高くなっている可能性があり、そうであればなおさら雇用継続は合理性を欠くと言わざるを得ません。

単なる能力の低さだけでなく、上司への反抗や資料紛失など、民間であれば懲戒対象になる行為もあるようですからね。

民間企業では、目標設定や人事考課によって、無能な社員は昇進昇格をしづらくすることができますが、公務員の処分はハードルが高く、恐らくよほどのことがなければ処分は受けないでしょうから」

税金の無駄? 能力不足の公務員をめぐる意見(画像/ Shutterstock)
税金の無駄? 能力不足の公務員をめぐる意見(画像/ Shutterstock)

佐賀県の職員採用サイトを見ると、行政職の平均給料・給与月額は347,453円(給料月額に諸手当を含んだ額)。平均年齢は41.0歳だ。

これに年間で4.60カ月分の賞与も加わるとのことで、職員は41歳の時点で年収が560万円ほどだとわかる。公務員が年功序列であることを踏まえると、免職となった二人の年収は、600~700万円ほどであっただろうか。

ただ、“将来安泰”と言われているのは公務員だけではない。一般的な日本企業も基本的には終身雇用で、会社の業績が大きく傾いたり、よっぽどのことをしなければ解雇されることはまずない。

そんな中で今回の報道を受け、日本でもアメリカのように、能力がなかったりやる気のない社員を解雇しやすくするべきだという声も多くあがっている。もしそのような社会になった場合、どのようなメリット・デメリットが発生するのか。