「警察庁の幹部と寝てネタを取っている」と根拠のない陰口を…
ライバルを次々と出し抜く女性記者の手腕は記者クラブ内でも高く評価されていたそうだが、中には嫉妬心から心ない言葉を吐く者も少なくなかったという。
「『あれはサッチョウ(警察庁)の幹部と寝てネタを取っている』と陰口をたたく記者は結構いました。もちろん根拠なんてありません。
ただの負け惜しみに過ぎないのですが、彼女に限らず、デキる女性記者の多くがそうしたやっかみの対象とされていました」(前出・B記者)
特に警察取材では、「夜討ち朝駆け」と称して、早朝や夜中に警察幹部や捜査員の自宅やその付近を訪ねて話を聞く取材手法が慣例的に続けられてきた。
そうした警察取材のイロハは、ほかの現場でも踏襲され、こうした慣習も、女性記者への陰口が流布する要因のひとつになりがちな側面も否定できず、過去には、第三者の目が行き届かない「密室での取材」をめぐってトラブルに発展した事例もある。
2022年、長崎地裁で、市幹部(故人)が報道機関の女性記者に性暴力を加えたとして、女性記者に対して市に約1975万円の損害賠償の支払いを命じる判決が言い渡された。
女性記者は2007年、市の平和祈念式典について幹部に個別取材した際、意に反する性的行為を受けたとされる。
ただ、こうした被害がすべて明るみに出るわけではなく、セクハラなどの被害に遭いながらも泣き寝入りせざるを得ない女性記者もいる。
民放の社会部記者Cさんはため息まじりに明かす。
「社外の取材先からセクハラを受けたのは一度や二度ではありません。でも、被害を訴えても『今後の取材に支障が出るから』などと言って、うやむやのまま終わらせられるのがオチ。
社内でも夜中に先輩に呼び出されて酒席を共にさせられるといったことは、しょっちゅうある。この業界には、『オンナを呼べる』というのが一種のステータスになっているきらいがあると思えてなりません」
取材現場にも残るマスコミ業界の悪しき慣習。抜本的な見直しが必要な時期がきているといえるだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班