警視庁の記者クラブでも似たような光景が…
一方、こうした不文律があるのは、政治の現場に限った話ではない。
全国紙や民放、NHKなどの主要メディアが集中する警視庁の記者クラブでも似たような光景が広がっているのだという。
全国紙の30代の社会部記者Bはこう証言する。
「警視庁には3つの記者クラブがあります。朝日、毎日、読売、東京、日経、共同の新聞・通信社6社が加盟する『七社会』、それにNHKや産経などの『警視庁記者クラブ』、加えて日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東の民放5社が加盟する『ニュース記者会』がそれです。
この3つの記者クラブはそれぞれシマが分かれているため、普段の交流はあまりありません。ただ、年に数回、警視総監の官舎で開かれる懇親会などで一堂に会することもある。
そういうとき、目立っているのは、やはり『ニュース記者会』です。むさ苦しい男性記者が多いほかのクラブ員とは違って、垢抜けた女性記者が多い印象です」
事件の発生や被疑者の逮捕などの捜査情報を、捜査員や捜査幹部らへの取材を通して得るのが、彼ら警視庁担当の記者たちの役割だ。入手した独自情報をいかに早く、正確に報じられるかで力量を量られる。
前出のB記者が警視庁担当だった2010年代当時、某民放には独自ニュースを他社に先駆けて報じる「前打ち」と呼ばれるスクープを連発する凄腕の女性記者がいたのだという。
「各社で配置にばらつきがありますが、当時は、殺人などの凶悪犯罪を担当する捜査1課、詐欺や贈収賄などの経済事件や暴力団犯罪を担当する捜査2課、そして違法薬物に関する事件や外国人犯罪などを扱う生活安全課、公安事件などの公安課など、事件の種別ごとに担当が分かれていました。
中でも、その女性記者は薬物事件にめっぽう強くて、ある芸能人が逮捕されたときは、身柄を拘束される場面までカメラに収めて他社をアッと言わせたことを覚えています」(前出・B記者)