「男は野望!!の巻」(ジャンプ・コミックス59巻収録)
今回は、脱サラ宣言をした両さんが開業する移動カレー屋にまつわるお話をお届けする。
本作が描かれたのは、1988年。深夜営業のファミリーレストランやコンビニエンスストアはすでに相当な普及を見せていたが、両さんが手がけたのは、ちょっと変わったフードサービスだ。
料理を消費者に届ける「出前」の歴史は、江戸時代中期にさかのぼる。また、夜鳴き蕎麦や天ぷらなど限られたメニューの軽食を提供する「移動販売」も、江戸時代後期から続いている食産業の形態のひとつだ。
両さんはそのふたつを組み合わせた、現代でいうなら「デリバリーサービス」と「キッチンカー」を合体させたような商売を考えつくのだが……それは、払い下げの消防用はしご車を駆ってのカレー屋だった。その売れ行きは、はたして……!?
本作における集合住宅高層階の住人への目配せは、独身の都市生活者である両さんならではのものだろう。
のちに、気球に乗ってラーメン屋の屋台を営む「空飛ぶ屋台!?の巻」(1993年発表。ジャンプ・コミックス85巻収録)や、両さんの祖父・勘兵衛の会社がドローンを使ってタワマン住人の生活インフラをさせる「ドローンの時代」(2016年発表。ジャンプ・コミックス200巻収録)を読むと、その商機は時代が進むにつれて次第に拡大していったことがわかる。
両さんの着眼点の鋭さは、やはり相当なものだ。
それでは次のページから、(値段ではなく高度が)世界一高いキッチンカー商売の顛末をお楽しみください!!