「東京駐車場事情の巻」(ジャンプ・コミックス60巻収録)

今回は、昭和が終わろうとする昭和63年(1988年)に描かれた、東京の高すぎる土地にまつわる騒動をお届けする。

東京の地価は恒常的に高い。特に、昭和末期から平成初頭(西暦で示すと1987年~1991年)のバブル景気のさなかには、その上昇ぶりはとどまることをしらないように見えた。本作は、そんな時代に駐車場を確保しようと悪戦苦闘する、庶民の努力とバイタリティーを描いている。

東京の土地価格との戦いは、『こち亀』ではすっかりおなじみになっている定番テーマのひとつ。

マイホーム至上主義者である警官・寺井のマイホーム探しネタをはじめ、実家を出てひとり暮らしをしようとする白バイ警官・本田のアパート探し騒動、両さんによる警察独身寮の又貸しなど、数多くの傑作群が目白押しだ。

本作と同じく1988年に描かれたお話では、4年に一度しか覚醒しない超能力警官・日暮熟睡男(ひぐらし・ねるお)が買っておいた土地が、次に目覚めたときには何倍もの値段になっていた……なんてこともあった。

昭和末期から平成への移り変わりは、デタラメな好景気による饗宴の騒ぎの中で行われたのだ。

五輪男(オリンピックボーイ)・日暮巡査の秘密!の巻」(ジャンプ・コミックス62巻収録)より。1984年に800万円で購入した土地が、1988年には5000万円になっていた……
五輪男(オリンピックボーイ)・日暮巡査の秘密!の巻」(ジャンプ・コミックス62巻収録)より。1984年に800万円で購入した土地が、1988年には5000万円になっていた……

それでは次のページから、土地価格高騰にともなう深刻だけどユーモラスな駐車場問題にまつわるお話をお楽しみください!!