「働いた分だけ還元される社会でないと、努力する意味がない」
実際の生活ぶりはどうなのか。いずれも都内23区在住で世帯年収が1200万円超の、子どもを1人持つ30代夫婦と、子どもを3人持つ40代夫婦の2組に話を聞いた。
まずは昨年、1歳年上の男性と結婚し、第一子となる長女を出産した鈴木さん(31歳)。
夫は大手有名企業に勤め、30代にして年収は800万。40代に入ると年収は1000万を超えるといい、教員として働く鈴木さんの年収を合わせると世帯年収1200万円を超える。
「将来的にはもう1人子どもを出産したいなという希望はありますが、3人までは望んでいません。経済的な面では3人育てられなくもないですが、どちらかというと年齢的な部分を考慮した上です。それに子ども1人1人をじっくり見てあげたいなと思っていますので」(鈴木さん、以下同)
そう落ち着いた口調で話す鈴木さん。もともと教育関係に携わっていることもあり、子どもの教育に関しては人一倍のこだわりがある。
「子どもを育てること以上に大事な仕事は世の中に存在しないと思っているので、仕事は一度スッパリやめたいと思っています。子どもの年齢が一桁の小学3年生ぐらいまでは、専業主婦として子育てに専念したいんです」
そうすると、子どもが小学3年生になる頃には夫の年収は1000万円以上…。現在、議論されている「1200万円の壁」の問題に関してはどう感じているのか。
「やっぱり働いたら働いた分だけ、しっかり自分たちに還元される社会であってほしいですよね。そうじゃないと努力する意味がなくなってしまう。夫も語学の勉強だったり、大学受験や就職活動だって相当努力をしてきた人だと思います。
私も仕事上、貧困層の子どもたちに携わる機会も多かったので『ある程度、稼げる力のある人は社会のために還元することも必要』って考えですが、かといって現状、貴族的な生活を送っているかと言われたら全然そんなことないです。家も築数十年の持ち家で、車も中古車ですし。抑えるところは抑えて、工夫して生活してます。
娘を大学まで行かせたいけど、身の丈以上のところは求めていません。私立だって学費もピンキリですし。所得制限で引っかかるんだったら、そのときできるベストな選択肢を子どもに提供していければなって思ってます」