退院後の最初の食事でケンタッキーを一切れ…

そんな江本さんの“術後メシ”とは?

「退院の日、とりあえず病院の近くのケンタッキー(フライドチキン)に入った。別に好きなわけじゃないんだけどね。胃もなくなってるし、ひと口、口に入れてもうそれで満足。

あとはうちの事務所の前にある町中華のもやしそば。入院中もそのニオイが頭に浮かんで離れなかったから、退院後しばらくして行ったけど、スープをちょっとすすってごちそうさま。『ああ、この味だ』って確認できたからそれでおしまい」

胃がないため、当初は食べても食道あたりで詰まってしまい、のたうち回るほど苦しい思いをすることもザラだった。そうして3か月後くらいから徐々に食べられるようになっていき、8か月ほどで以前に近い食生活に戻っていったそうだ。


「胃がない人は栄養を3分の1しか吸収できないから、3人前は食べなきゃいけない。でもそんなの無理だからこまめに食べるように先生に指導してもらった」(江本さん)

「胃がない人は栄養を3分の1しか吸収できないから、3人前は食べなきゃいけない。でもそんなの無理だからこまめに食べるように先生に指導してもらった」(江本さん)

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大病を患った後だからこそ、実施している健康法はあるのだろうか。

「そんなものはないよ。強いて言えば、安いゴルフ場には行かないことかな(笑)。安いとこはマナーの悪い客がいてイライラするから。それと気をつかって面倒くさいから人付き合いも極力しない。そういう精神面で負担をかけないようにすることが大事。

あとは何と言っても高くてうまいものを食べる。これまでいいものを食べたいがためにがんばってきた。人間って食い物のために生きてる。だから、その金がなくなったら終わりだな(笑)」

昨年11月に『ミスタードラゴンズの失敗』(扶桑社)を上梓した江本さんは、今年3月には別の書籍を発売予定だという。おいしいものはまだまだ食べ続けられそうだ。

取材・文/武松佑季 写真/村上庄吾