「新庄監督は野球の本質をわかってる」
――江本さんは昨季のプロ野球をどのように振り返りますか。
江本孟紀(以下、同) セリーグは戦力が嚙み合ったチームがなくて、8月時点で広島が行くかなと思ったら9月に5勝20敗の大失速。最後に巨人がスルリと優勝してしまったという、なんとも解説者泣かせのシーズンだったね。
まぁ、解説者は毎年泣いてるけど(笑)、私のセリーグ予想は1位と2位が逆なだけで、あとは全部当たってたよ。
――それはスゴイ!
岡田(彰布。阪神前監督)に忖度して、無難に阪神を1位にしてなければパーフェクトだったのに(笑)。
――中日の最下位も的中。
小笠原(慎之介)が毎日ブルペンにダンベルを持ち込んで筋トレしてると聞いて、彼は今年ダメだと思いました。アメリカ(への移籍)を意識してたのかもわからないけど、筋肉ばっかりつけてもね。
自分が信じてやったことに関しては間違いじゃない。でもそれを指摘する人がチーム内にいないと。立浪(和義。中日前監督)はそこに目が届いていなかった。そこが日本ハムとの違いだよね。
――日本ハムは2023年まで中日と同じく2年連続最下位も、昨年は2位と躍進しました。
これは簡単な話で、日本ハムは12球団で一番、完投投手が多い(11完投)。
投手含めて、ひとりがひとつのポジションを最後まで守るのが強いチーム。それが中継ぎの働きで優勝するチームが出ると、新しいもの好きのマスコミが飛びついておだてる。
それに現場が迎合しちゃって、どこの球団も投手に完投させることを怠るの。これは愚の骨頂。野球は9イニングを“細切れ”にするスポーツじゃない。
――そのあたりも新庄剛志監督の手腕と。
チャラけたやつだと思ってたけど、野球の本質をわかってるんだな。ちょっと甘く見すぎたか。でも甘く見るでしょ。あんな大きなマスクをずっとしてたら(笑)。