あわや大事故に…

17日の朝日放送の出口調査では、3年間の斎藤県政を肯定的に見る人は7割に上った。投票で一番重視するものを問う質問に告発文書問題を挙げたのは1割で、「政策や公約」が最も多い4割だったという。告発問題を問おうとする人がそもそも少なく、ネットで触発され聞きに行った演説で公約に触れ、賛同した人が増えた可能性がある。

支持者が増え続けた結果、選挙戦最終日の16日にはあわやというハプニングもあった。斎藤氏が最後の演説会場に選んだ神戸の中心、三宮センター街東口には数千人の聴衆が集結。そばにある長さ20メートル程度、幅4メートルほどの空中廊下にも多数が集まった。

そこで「人の重みで廊下の床がたわんでいるのが下からはっきり分かり、底が抜けるか廊下全体が群衆の上に落ちてくるんじゃないかとビビった」(目撃者)事態が起きたのだ。

崩落の危険があるとして空中廊下(左)の下から退避した聴衆 撮影/集英社オンライン
崩落の危険があるとして空中廊下(左)の下から退避した聴衆 撮影/集英社オンライン

110番通報が警察に入り、真下にいた人は大慌てで避難。群衆は廊下の上にいる人に「逃げろー」と叫んだ。

実はこの時、集英社オンラインの記者も現場付近におり、下の聴衆が上を見上げて「落ちるぞー」と叫んでいることに気づき声をあげた。ほとんど同時に空中廊下の上に駆け付けた建物管理の関係者がハンドマイクで避難を呼びかけ、上にいた数十人が一斉にそばの建物に逃げて事なきを得た。

「斎藤氏の演説が遅れ、開始前だったから異常に気付けたのではないか。演説が予定通り始まっていれば、たわみに誰も気づかないまま廊下の上の聴衆がどんどん増え、さらにヤバくなっていたはずだ」と在阪記者は話す。

当選確実が出た後、支持者の前に現れ顔を紅潮させる斎藤元彦氏 撮影/集英社オンライン
当選確実が出た後、支持者の前に現れ顔を紅潮させる斎藤元彦氏 撮影/集英社オンライン
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Aさんが告発した一連の疑惑は県議会の調査特別委員会(百条委)が扱っており、真偽の見極めや責任追及の判断は、知事選の結果やネット上の言説に圧力を受けることはあってはならない。

だが、神戸随一の繁華街に空前の規模の支持者を集め、3年前の選挙で得た86万票をはるかに上回る票数で再選された斎藤氏の権力基盤は確実に強化された。そんな中で疑惑はきちんと調査されるのか。斎藤県政のシーズン2が幕を開ける。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班