20人を超える被害者が集まったことも
男性の恋愛感情を逆手に取り、時には自身の“性”をも武器に多額の金を騙し取っていたとみられる井田。Cさんもまた、同じ手口で被害に会った男性の一人だ。
「私は2019年10月6日に井田とマッチングアプリでやり取りを始めました。会う約束をして、LINEで詳しいやり取りしようということになりました。実際、会おうとすると『会えなくなった』『助けて』なんていうメッセージが来たんです。
理由を聞くと、『勤めているキャバクラで財布がなくなった』『今日中に託児所のお金を支払わないといけない』という内容でした。身分証がないからと言って井田が送ってきたのが、自身の顔と陰部が収まる写真や陰部のクローズアップ写真でした。
翌日もすぐ『キャバクラの罰金を払わないといけない』とメッセージがきました。実際に会うことが叶うならと約束をして、2回に分けて計30万円、井田に貸しました」(Cさん)
前出のAさんも同じような理由で井田に金を貸していたのは、#1で報じたとおりだ。
また、警視庁に6日、詐欺と窃盗の疑いで逮捕された井田容疑者には、2023年10月4日、マッチングアプリで知り合った山形県の会社員男性(34)に対し、計34万6000円を口座に振り込ませて騙し取り、ATMで引き出して窃取したとされた容疑がかかっている。
この男性にも、『キャバクラの給料が盗まれ、託児所代が払えない』『罰金を払わないといけない』などと伝えていたという。
Cさんによれば、3~4年前からインターネット上で井田を名乗る人物による詐欺被害を訴える男性が続出。Cさんは実態を探るべく、名乗り出た被害者同士で情報交換したところ、一時はCさんのもとに20人を超える被害者が集まったという。
「集まった情報を照合してみると、マッチングアプリで井田と知り合ったものの一度も会っていない男性がほとんどでした。それに振り込みに使われた銀行口座の番号や名義人の名前が、複数の被害者の間で同一だということもわかりました。
みなさん当時、警察に相談には行っていたようですが、金の貸し借りは民事になり詐欺と判断するのが難しく、被害届を受理してもらえず、泣き寝入りしたケースが多かったです」(Cさん)
警視庁は、井田容疑者が少なくとも約90人の男性から計約1億円を騙し取ったとみている。その金はホストクラブなどでの飲食代に使ったことが判明している。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班