かつてないほど冷めた国政選挙

10月27日に投開票を迎える衆議院選挙。しかし、冷めた目で見ている有権者も多いだろう。正直に告白すると、国会質疑を長年取り上げてきた筆者ですら今回の衆議院選挙はかつてないほど冷めた目で見ており、なかなか関心が高まらない。

そもそも石破茂総理は自民党総裁選中には早期解散に慎重姿勢を示していたはずが、総裁の座に就くや態度を豹変させて解散総選挙を強行。

しかも、「日本創生解散」と名付けたキャッチコピーが意味不明すぎて、なんの大義もない身勝手な解散であることを逆に印象付けた。

石破茂総理(本人Facebookより)
石破茂総理(本人Facebookより)
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突然の方針転換の結果、新内閣発足(10月1日)から投開票(10月27日)までわずか1ヶ月以内という超強行日程。

当然ながら各自治体では投票所入場整理券の発送作業が間に合わず、投開票数日前になっても届かなかった有権者も多いだろう。現に投開票5日前(10月22日)現在、筆者のもとにもまだ届いていない。

このままでは、投票所入場整理券が届いた段階ではじめて選挙を意識するような、日常生活をおくることで精一杯の有権者や、期日前投票でしか投票できない有権者は「気づいたら選挙は終わっていた」という事態になりかねない。(*ただし、手ぶらで投票所へ行っても本人確認さえできれば投票は可能。投票所入場整理券が届かないからといって投票を諦める必要がないことは強く注意しておく)

ただでさえ無党派層が多い日本でこれだけの悪条件が重なれば、「そもそも支持している政党や政治家がいるわけでもないし、もう誰にも投票したくない!」という考えに至る有権者が出てきても致し方ない。

そして、このような事態の中でSNSを中心に広まりつつあるのが、「白票で現状の政治に対する不満を意思表示できる」という言説だ。この言説は、主に以下3点の流れで構成されている。

(1)白票は、「立候補している政治家を支持していない」というメッセージになる
(2)したがって、白票が増えれば当選した政治家に対して、有権者からの不支持も集まっているというプレッシャーを与えられる
(3)結果、その政治家は次の選挙で確実に勝つために自らの言動を改める

しかし、これは都合のいい妄想と指摘せざるをえない。

まず、白票は無効票に分類されるため選挙制度上はなんの意味も持たない。

無効票の数は開票で明らかになるが、衆議院選挙の小選挙区のようにトップ1名が当選する仕組みの場合、政治家が落選するのは(比例復活の可能性を除外すれば)対立候補の得票が自らを上回ったときのみ。したがって、対立候補の票が増えない白票は政治家にとってなんの脅威にもならないのだ。