YouTubeでダンプ松本に謝罪

──それまでの歴代のスター選手も、やはりそうだったのでしょうか。

確認したわけではありませんが、そうだったのではないでしょうか。たとえどんなに魂胆が透けて見えるものでも、「やらない」とふてくされた選手で一流になった人を私は知りません。

「きっとこうしたいんだろうな」という大人の事情を汲み取りつつ、そのなかで可能な限り自分の色を出すということに腐心した経験は、私にとって貴重な時間だったかもしれません。

ダンプさんが抜けたあと、ヒールの先頭に立ってみて、初めてわかった彼女の偉大さがたくさんあります。

あんなに近くにいたのに、その当時はわかっていたつもりでも、いなくなってから本当の存在の大きさがわかるんですよね。

一時期はダンプ松本としっかり話すことができなくなっていたという
一時期はダンプ松本としっかり話すことができなくなっていたという
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──時は流れ、現在はYouTubeチャンネル『ぶるちゃんねる』で活動されています。往年のスター選手をゲストに呼ぶこともありますが、そのなかで得られたものがあれば教えてください。

やはり私のチャンネルのなかで長年伝えられなかったダンプさんへの謝罪ができて、雪解けに繋がったことはうれしかったですね。

それから、先輩や後輩たちがあの当時になにを考えていたのか、という本音を聞くことができるのも、毎回新鮮です。

なにより『極悪女王』の盛り上がりによって、当時の裏側が一般の人たちに理解してもらえたことは感動すら覚えます。

当時のヒールは本当に世間から疎まれていて、近所や親戚から白い目で見られてきました。それでも、ヒールのイメージを壊さないように家族は黙ってきた。

『極悪女王』の大ヒットは、ブルさんの家族にとっても救いになったのではないでしょうか。

〈前編〉「入場のどさくさで胸や局部を触られ」「カラんできた不良は徹底的に懲らしめた」“過激すぎる女子プロレスの世界”

取材・文/黒島暁生 撮影/杉山慶伍