同性カップルが子育てしづらい日本の現状

――今回、みち子さんが先にご出産されたのには、何か理由があったのでしょうか。

ぽっち  2人とも子宮や卵巣の超音波検査などのプレコンセプションケアを受けていて、どちらも将来的に妊娠できる可能性があることはわかっていました。それで、2年かけてドナーとなるお相手を探しつつ、同時に妊活を進めていたんです。でも、年齢的にみち子を優先させたほうがいいかなと思い、私は妊活をいったん中止することにしました。

YouTubeチャンネル「はぴLIFEチャンネル」にて、出産の報告をする2人(写真/公式YouTubeチャンネルより)
YouTubeチャンネル「はぴLIFEチャンネル」にて、出産の報告をする2人(写真/公式YouTubeチャンネルより)

――ドナーのお相手はどのように見つけたのでしょうか。

ぽっち  日本では現在、男性と婚姻していない独身女性や同性カップルに対する人工授精や体外受精は対象外となっていて受けられないんです。だから、はっきりと言えないところがもどかしいんですけど、最終的に男性10人くらいの候補から慎重に選んだうえで、お互いにルールもきっちり決めて、1年くらい交流をしたあとに妊活に協力してくれることになりました。

みち子  「認知はしなくていい」「養育費はいらない」「子どもの行事に参加したり、面会したりしたいときは来てもらう」とか、細かく決めたよね。やっぱり子どもにとって父親の存在を隠すことなく、会える環境にしてあげられることが大事だなって思って。

――ということは、戸籍上、現在みち子さんは母子家庭ということになるのでしょうか?

ぽっち  そうなんです。つい先日、みち子が産褥期(さんじょくき)なので、出生届を私1人で出しに行こうと、事前に役所に確認したんです。でも、本人ではない場合は委任状が必要なうえ、かなり細かく指定どおりの文言を書かなければならず、1カ所でも間違えたら出し直しになるって言われて……。

みち子  「出し直しになるくらいなら、一緒に行っちゃったほうがいいね」と。なので、私も行きました。

ぽっち  そのときに「あー、まだ日本だと同性カップルは子育てしづらい部分があるな」とひしひしと感じました。「今後、この子が病気になったときや不測の事態が起こったとき、どこまで私1人で対応できるんだろう」と少し不安になったくらい。

みち子  そうだよね。私たちは「同性愛者の婚姻関係を認めて!」と主張したいわけではないのですが、血の繋がりがないばかりに、親として当然の動きができないというのは、なかなか難しいなと感じましたね。