シートを蹴飛ばすような外国人観光客はいない

――4月からタクシー事業者の運行管理のもと、一般ドライバーが自家用車を使って有償で送迎する「ライドシェア」が始まりましたが、その影響は感じますか?

早乙女 いまのところほぼ影響はないと思っています。

前田 自分は「一般車に乗るのはちょっと怖い」と話すお客様が多いように感じます。海外では普及しているようですが、日本でどうなるのかはこれからだと思います。

――さまざまなところでオーバーツーリズムの問題が生じていますが、言葉の問題も含めてトラブルになったことはありますか。

前田 港区・千代田区・中央区をメインにしているからか、観光客は1日1〜2組程度ですし、外国人のお客様はみなさん正確に住所を教えてくれますから、あとはナビ通りに行くだけです。

早乙女 「シートベルトをしてください」と「目的地はどこですか?」という2つの言葉だけ覚えていれば、ほぼ大丈夫。ナビ通りに行けばまずトラブルにはなりません。

言葉が障害になったことはないですし、ルートが違うと文句を言ったりシートを蹴飛ばしたりする外国人の方はいないので、むしろありがたいなと思っています。

――外国のかただとチップをもらえたりは?

早乙女 日本に来る外国人の方は、“日本ではチップは必要ない”ということを勉強してくるみたいで、チップをいただいたことはないですね。むしろ日本人のお客様のほうが、「これで飲み物でも買って」と、チップをいただけることが多いです。

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――都内では“なかなかタクシーに乗れない”という声があったり、各社が普及させた配車アプリの普及で、乗務する環境が大きく変わっていると思いますが、実際に変化はありますか。

前田 それもあまり感じないんですよね。いまでも流しが一番多くて、タクシー乗り場がその次で、配車アプリは全体の2割くらいです。酷暑もあって、お客さんをたくさんお乗せする日もあるのですが、お客さんがいないなーという日もありますし…。

早乙女 一度だけ雨の日の金曜日にお乗せした38組の内、30組が配車アプリのお客様だったことがあって、“すごい人気者になっちゃったな”と思ったことはあります(笑)。でも平均すると、アプリはやはり全体の2割くらいですね。基本的には流しでお客様を探しています。