若者にとって理想的な労働環境

「自由に休みが取れるし、福利厚生が充実しているというのもこの会社に惹かれた理由の一つです。入社祝い金に加えて会社の株をもらえたのも嬉しかったですね。

あとは同世代の友人と話をするたびに、上司が…取引先の人が…と愚痴をこぼしてくるんですけど、タクシー運転手はひとりで仕事するのが基本なので人間関係で悩むことはないんです。面倒な人とやりとりを続けるのは辛いんだなと知りました」(早乙女陽美さん)

「幼いころからサッカーのプロを目指してきたんです。プロ選手にはなれませんでしたが、趣味としては体が動く限り続けたくて。仕事のやりがいと同時に、好きなときにサッカーが出来るというのが会社選びの第一条件でした。趣味との両立がさせやすいなと思ったのも惹かれた理由です」(前田永遠さん)

現在も土日のどちらかはサッカーをして汗を流しているという
現在も土日のどちらかはサッカーをして汗を流しているという

また給与水準も同年代と比べると、頭ひとつ抜けているという。

「50万円くらいはもらえるよと、先輩に教えていただいていたんですが、半分冗談だと思っていたら、現場に出てすぐ本当にその金額をもらえたのでとても驚きました」(前田永遠さん)

「研修期間から貯めていた分と、乗務員としてデビューしてからの給料を加えて、欲しかった車をキャッシュで買っちゃいました」(早乙女陽美さん)

2023年のリクルートの調査※3によると、入社3年以内に自己都合退社をした若者の約25%が、「労働時間の長さ」や「休日の取りにくさ」など労働条件を理由に退職しており、若い世代はプライベートの充実を含めた幸福度を大切にしていることがわかる。

また、同アンケートによると「給与水準に満足できない」が18.4%、「職場の人間関係がよくない、合わない」が14.5%、「上司と合わない」が14.5%、「希望する働き方ができない(場所、時間、副業など)」が14.5%となっている。

ある程度好きな日に働くことができ、同世代と比較しても給与水準が高く、福利厚生が充実しており、面倒な人間関係に頭を悩ませることもないのであれば、タクシー運転手が若者に支持されている理由にも納得だろう。

だが業界の取り組みはこれだけにはとどまらない。